渡利 (福島市)

福島市渡利地区：歴史と自然が織りなす街

福島県福島市渡利地区は、阿武隈川を挟んで市街地と隣接する、歴史と自然豊かな地域です。古くから東山道の宿場町として栄え、水運の要所としても重要な役割を果たしてきました。近年は、バイパス道路の整備による交通の利便性向上や、新興住宅地の開発によって発展を遂げ、多くの住民が暮らす住宅地として賑わいを見せています。

歴史：古代から続く交通の要衝

渡利地区の歴史は古く、古代には東山道沿いの集落として存在していました。阿武隈川は福島城の外堀としての役割も担い、渡船を利用した人や物の往来が盛んに行われていたことが伺えます。「天神の渡し」は、当時東西を繋ぐ重要な交通手段の一つでした。奥州街道の整備以前から続く歴史は、渡利地区が古くから交通の要衝であったことを示しています。また、第二次世界大戦中には、福島市で唯一爆弾が投下された場所でもあります。

近年では、長らく所在不明だった旧道路法で定められた渡利村道路元標が、道路工事中に発見され、現在では福島市渡利学習センター近辺に保存されています。この元標は、地域の歩みを象徴する貴重な史跡となっています。

地理：阿武隈川と調和する自然と都市

渡利地区は阿武隈川に沿って広がり、北から東にかけては岡部、山口、大波地区、東から南にかけては立子山、南では田沢、黒岩、南西では小倉寺、南向台、鳥谷野地区、そして西から北西にかけては福島市中心市街地と隣接しています。

阿武隈川沿いの平野部は住宅地として整備され、県営・市営住宅や団地が立ち並びます。一方、国道114号沿いの山間部は、平地が少なく、街道沿いに住宅が点在し、小規模な田畑が広がる、自然豊かな風景が広がっています。花見山公園をはじめ、弁天山や茶屋沼公園など、高台に位置する自然公園も多く、都市と自然が調和した美しい景観を形成しています。阿武隈川沿いの水辺空間は、2004年度土木学会デザイン賞優秀賞を受賞しており、地域住民の憩いの場となっています。

交通：充実した道路網と公共交通機関

渡利地区は、国道4号福島南バイパス、国道114号（川俣街道・富岡街道）、渡利バイパスなど、複数の道路が整備されており、車での移動が便利です。また、福島交通路線バスが運行しており、福島駅方面や周辺地域へのアクセスも良好です。バス路線は、渡利地区内をくまなく網羅しており、地域住民の生活を支えています。JRバス東北も運行し、川俣方面へのアクセスも確保されています。鉄道駅は地区内にありませんが、最寄りのJR東北本線福島駅、南福島駅からバスでアクセスできます。

施設：教育・医療・行政機関が充実

渡利地区には、福島市役所渡利支所、福島市渡利学習センター、福島県総合社会福祉センター、あぶくまクリーンセンターなどの行政機関のほか、福島県立福島南高等学校、福島県立福島中央高等学校、福島市立渡利中学校、福島市立渡利小学校などの教育機関、そしてわたり病院などの医療機関が整備されています。商業施設としては、いちい渡利店などがあります。これらの施設は、地域住民の生活を支える上で重要な役割を果たしています。

観光：自然と歴史に触れる

渡利地区には、花見山公園、弁天山、茶屋沼公園などの観光スポットがあり、自然豊かな環境の中で散策を楽しむことができます。春日神社や瑞龍寺などの寺社も点在し、歴史を感じさせるスポットとなっています。

まとめ

福島市渡利地区は、歴史と自然が調和した魅力的な地域です。古くからの歴史と、現代の発展が共存し、豊かな生活環境と便利なアクセスを両立させています。今後も、地域住民の生活基盤として、そして魅力的な観光地として、発展を続けることが期待されます。

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