聖教団事件

聖教団事件について

聖教団事件とは、日本ホーリネス教会における初期の分裂を指し、主に中田重治とアメリカ人宣教師チャールズ・カウマンとの間で起こった対立が原因です。この事件により、分裂した中田側の教職者たちが新たに設立した団体が「日本聖教団」となりました。

背景

聖教団事件の発端は、1901年に設立された東洋宣教会にまで遡ります。当初は、日本人信者と海外の宣教師が協力して伝道活動を推進していました。しかし、時が経つにつれ、教団内での牧師や伝道館の増加により、組織の運営や利権に関する意見の相違が顕在化しました。

これによって、東洋宣教会と中田側の日本聖教団の二つに分かれることになりました。東洋宣教会は、聖書学院や神田、浅草の伝道館を所有し、開拓伝道を進める一方で、経済的に安定した後に聖教会に加入する旨の協定を結びました。この時、カウマンは東洋宣教会の総理に就任しました。

日本聖教団の成立

一方で、中田重治とその支持者たちは東洋宣教会から離脱し、日本聖教団を結成することにしました。新たに淀橋教会を設立し、団体の本部として機能させることとなります。中田は主監として指導し、米田豊や渡辺善太らが委員として活動を開始しました。特に、笹尾鉄三郎は中田を補佐し、聖書学院の嘱託講師と淀橋教会の嘱託牧師を兼任することが決定されました。

教団内の動揺

聖教団事件は多くの教役者にさまざまな影響を与えました。例えば、車田秋次は宣教師側に、また小原十三司は聖書学院を退学し地元に帰る決断をしました。中田側に加わる者は少数であり、分離後も笹尾を通じてカウマンとの交渉が続けられました。

その結果、カウマンが一方的に妥協を示し、両者間の協力関係は再開されました。この新たな路線では、日本における伝道活動に関しては日本人教職者に委ね、宣教師たちは開拓伝道に専念することが決定されました。

結果と影響

しかし、渡辺善太は中田が無断でカウマンと妥協を図ったことに不満を示し、1912年11月に辞任しアメリカへ留学しました。また、当初中立的な立場にあった笹尾も辞任し、巡回伝道者となりました。笹尾の不在に失望した米田も辞任し、再びバークレー・バックストンの秘書となりました。

このように、聖教団事件は教団内に大きな波紋を広げ、その後の組織体制や伝道活動にも影響を与えることになりました。

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