渡辺紘三

渡辺紘三

日本の政治家。自由民主党に所属し、衆議院議員として活動した。

生涯と政治活動

渡辺紘三は、1942年（昭和17年）1月28日に生まれた。実業家であった渡辺良夫の三男にあたる。本籍地は新潟県北蒲原郡黒川村（現在の胎内市）に置かれていたが、幼少期は現在の新発田市紫雲寺地区で過ごした。

早稲田高等学校を中途退学した後、一度は新潟県内の企業に勤める。しかし、兄である衆議院議員・渡辺肇が政界からの引退を決めたことを受け、その後継者として政治の世界へ足を踏み入れることとなる。

1972年（昭和47年）に行われた第33回衆議院議員総選挙に、旧新潟2区から自由民主党公認候補として立候補し、初当選を果たした。この選挙での同期当選者には、後に日本の首相となる小泉純一郎をはじめ、加藤紘一、山崎拓、石原慎太郎、村岡兼造、保岡興治、瓦力、三塚博、越智通雄、野田毅、深谷隆司といった、その後の政界で要職を担う多くの実力者が名を連ねていた。

衆議院議員としては、地元の阿賀野川流域北部を強固な地盤とし、連続して6回の当選を重ねた。

党内では、同郷で「闇将軍」とも称された田中角栄元首相が率いる自由民主党内の最大派閥である田中派に属した。田中派の有力者として、第1次大平内閣では建設政務次官を、続く鈴木善幸内閣では郵政政務次官を務めるなど、政府内での役職を歴任した。また、国会においては衆議院逓信委員長を務めた経験も持つ。

田中派が分裂し、竹下登らによる創世会が設立された際には、派閥の領袖である田中角栄への配慮から、派内で中立的な立場を取る動きも見せた。しかし、竹下登が自由民主党総裁選挙への出馬を表明した際には、その推薦人に名を連ねた。そして、1987年（昭和62年）10月には、竹下派（経世会）へと正式に参加した。

同じ田中派に属し、名前の読みが「こうぞう」で同じ渡部恒三が、その出身地から「会津のケネディ」という異名で呼ばれたのに対し、渡辺紘三は田中角栄の強固な支持組織であった「越山会」との関係が深く、その「スポークスマン」として知られる存在であった。

病気と引退

長年にわたり糖尿病を患っており、入退院を繰り返すなど体調面での不安を抱えていた。この持病の悪化に伴い、1990年（平成2年）に行われた第39回衆議院議員総選挙には出馬せず、政界から身を引いた。

その他の活動と晩年

政治家として活動する傍ら、実業界にも関わりを持ち、株式会社大志を設立し、その社長を務めた。

政界引退後も療養を続けていたが、持病である糖尿病などがさらに悪化した。2007年（平成19年）9月16日、東京都新宿区内の病院にて、65歳でその生涯を終えた。

参考文献

『新訂 政治家人名事典 明治～昭和』日外アソシエーツ, 2003年
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局, 1990年

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