渡辺重春

渡辺重春（わたなべ しげはる）は、天保2年3月10日（1831年4月22日）に生まれ、明治23年（1890年）5月9日に没した、幕末から明治時代にかけての国学者です。通称は上野介（うえのすけ）、号は桜園（おうえん）または欽英書屋（きんえいしょおく）と称しました。

豊前国中津（現在の大分県中津市）に、渡辺重蔭（わたなべ しげかげ）の長男として誕生しました。祖父は渡辺重名（わたなべ しげな）です。18歳で定村直孝（さだむら なおたか）に国学の基礎を学び、その後、萩原広道（はぎわら ひろみち）、佐久良東雄（さくら あずまお）、大国隆正（おおくに たかまさ）といった著名な国学者に師事し、平田篤胤（ひらた あつたね）の没後、その門人となりました。

明治4年（1871年）には、郷里である豊前中津藩の藩校、進脩館（しんしゅうかん）で教授として教鞭を執りました。その後、廣田神社（ひろたじんじゃ）、龍田神社（たつたじんじゃ）、大鳥神社（おおとりじんじゃ）など、各地の重要な神社で大宮司（だいぐうじ）を歴任し、正七位（しょうしちい）・小教正（しょうきょうせい）に進みました。古典に関する深い知識を持ち、和歌や漢詩にも優れた才能を発揮しました。

明治23年（1890年）に60歳でその生涯を閉じました。著作として、『古史伝拾遺（こしでんしゅうい）』や『豊前志（ぶぜんし）』などが知られています。


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