温世珍

温世珍: 清末から民初の政治家

温世珍（おん せいちん、1877年 - 1951年）は、清末から民初にかけて活動した著名な政治家、官僚、外交官です。彼は主に外交分野でのキャリアを持ち、北京政府時代には特に対外交渉を担当し、さまざまな役職を歴任しました。温の字は佩珊であり、彼の生涯には多くの重要な出来事がありました。

清末民初の活動

彼は北洋水師学堂を卒業した後、イギリスに留学し、帰国後は海軍に勤めました。その後、李鴻章の幕僚としても活動。1906年、彼は両広総督衙門の洋務委員に任命され、翌年には洋務文案にも関与しました。1913年には外交部特派浙江交渉員としての役職を持ち、さらに1915年には中大夫の位を授与されるなど、彼の政治的影響力は徐々に拡大しました。

1916年には江西都督の顧問となり、1917年にはに江蘇都督としての地位も得ます。また、1920年には金陵関監督としての役割を担います。彼はこの時期、ワシントン会議に中国代表として名誉諮議として参加し、その後も1924年には江海関監督と特派江蘇交渉員に任命されますが、直隷派の敗北に伴い、早期に職務を離れることになります。

天津特別市長就任

中華民国臨時政府が成立した1938年、温世珍は日本の支持を受け、津海関監督兼河北省銀行監事に任命され、その後、様々な要職を兼任。日本の特務機関から次期天津特別市市長として推されることになります。その後、彼は地元の政治家との権力争いを経て公式に天津特別市市長に任命されます。

方若との権力闘争

当時、特別市公署首席参事の方若との権力闘争が始まります。方若は天津の経済界に強い影響力を持ち、彼との競争が激化。しかし、温世珍の英語能力と国際的なアクセスにより、方若の動きに対抗します。1940年には一時的に市長職を離れたものの、再び復帰を果たします。この権力闘争は彼の政治的立場を揺るがすものでしたが、最終的には温の勝利に終わります。彼は華北防共委員会の会長なども兼任しながら、天津の行政に携わりますが、1943年には市長の職を解かれます。

刑死とその後

1945年、日本の敗戦後、温世珍は国民政府により漢奸として逮捕され、その後死刑判決が下されます。しかし、彼はすぐに執行されることはなく、1948年末には釈放されます。1949年、再び漢奸として逮捕され、最終的に中華人民共和国成立後の1951年に死刑が執行されました。享年75歳でした。

著作

温世珍の著作には『臨案感言』などがあり、彼の考えや体験が表現されています。彼の生涯は、清末から民初にかけての中国の政治的変動の中で、国や地域の運命を左右する要因を反映しています。

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