湧川王子

湧川王子の歴史と影響

湧川王子（わくがわおうじ）は、琉球王国の歴史記録『中山世鑑』や『中山世譜』に登場する王族です。彼の正確な生没年は不詳ですが、英祖王統の初代国王である英祖王の次男とされています。湧川王子は琉球の歴史の中で重要な役割を果たしました。

略伝

湧川王子は、舜天王統二世である舜馬順煕の子にあたります。その子には義本王と今帰仁世の主が存在しましたが、今帰仁世の主の二世（詳細不詳）の養子として北山世主、今帰仁城主の地位に就いたと言われています。彼は中北山中興の祖と見なされ、北山の各按司との関係を深めました。この時代の名護按司、羽地按司、国頭按司などは、湧川王子の家族や親族と関係があります。

子孫とその名声

湧川王子の子孫は、代々今帰仁按司の地位を受け継ぎました。湧川王子の孫である今帰仁按司は、側室に志慶真乙樽を持ち, 幼名を千代松とする子を得ました。この家族の繁栄と乙樽の美しさにちなんだ琉歌が伝わっています。伝説によれば、世主の死後に乙樽が千代松を産み、世継ぎ祝いの日に本部大主による反乱が起こり、乙樽は幼子を抱えて逃げ延びたとされています。また、名護城主名護按司の祖は丘春の実弟であり、羽地や国頭按司もその兄弟とされているのです。

本部大主の乱とその影響

湧川王子の子孫は今帰仁按司を引き継ぐ中で、北山世主今帰仁按司の代に家臣の本部大主が反乱を起こしました。この事件により、丘春（幼名千代松）は泊城へ逃げましたが、18年後に本部大主を討ち取り今帰仁城主の地位を取り戻したと言われています。

怖ニ芝の変

しかし、その後、丘春と家族は湧川王子の孫である湧川按司二世の子・怖ニ芝に再度攻撃されました。この際、丘春の子である今帰仁仲宗根若按司が命を落とし、一族は中頭や大宜味に分散することになりました。丘春の直系には大宜味按司や護佐丸がいたと伝えられ、怖ニ芝は北山王国の初代王となりました。

系譜

湧川王子の系譜について、『中北山系図』によると、英祖（初代国王）を父とし、更に多くの子孫が今帰仁王家に連なることが示されています。特に、今帰仁仲宗根若按司から始まる数世代の系譜が重要視されており、彼の直系には後の伊覇按司一世なども含まれています。

湧川王子の系譜は琉球の歴史と文化に大きな影響を与え、その存在は現代まで伝えられています。彼の家族が歴史の中で果たした役割や、残した教訓は、琉球王国の成り立ちや発展において重要な要素といえるでしょう。

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