湯川寛吉

湯川 寛吉（ゆかわ かんきち）

基本情報

• - 生誕：慶応4年5月24日（1868年7月13日）
• - 死去：昭和6年（1931年）8月23日
• - 職業：実業家、住友総理事

幼少期と教育

湯川寛吉は紀伊国東牟婁郡の新宮町に生まれ、その父は紀伊新宮藩の藩医でした。彼の学問の道は新宮小学校から始まりましたが、和歌山中学校へ進学するも中退。その後、東京ドイツ協会学校に転学し、学びを続けました。明治15年（1882年）には東京大学予備門に入学し、医科大学を志したものの、法科大学へと転学。明治23年（1890年）に法科大学を卒業し、法律の道へ進みます。

職業経歴

湯川は明治23年に逓信省へ入省し、その後多数の重要な役職を歴任しました。特に、明治27年（1894年）の日清戦争では、野戦高等郵便局長として活躍。戦後は東京郵便電信学校の校長を経て、明治31年（1898年）には東京郵便電信局長に就任し、明治36年（1903年）には東京通信管理局長にまで昇進しました。

明治38年（1905年）、大学の先輩の推薦で住友に入社し、住友本店支配人に就任します。入社以来、湯川は鈴木総理事の補佐役として経営に貢献し、明治43年（1910年）には理事に昇進。その後、住友伸銅所の支配人や、順次複数の重要なポストを任されるようになります。

住友財閥の発展

湯川の功績は住友における事業の多角化にあります。明治44年（1911年）には電線事業を独立させ、住友電線製造所を設立。その後、大正時代には住友鋳鋼所の取締役や住友銀行の常務に就任し、銀行業務の拡大のために海外視察を行いました。特に、カリフォルニアやハワイに置かれた海外支店は、邦銀として初めての試みと言えます。

湯川は住友合資総理事に就任後、別子鉱業所を本社傘下の連系会社に分離するなど、住友を産銅さんから総合企業へと成長させるため積極的に取り組みました。彼の指導のもと、住友は鉱業だけでなく、火災保険、信託、生命保険、銀行業、不動産など多岐にわたる事業を展開しました。

晩年

昭和3年（1928年）には定年を迎えましたが、若い家長住友友成の後見人として3年間職を延長。その後、相談役や貴族院議員として関西経済界で影響力を持ち続けました。しかし、昭和6年（1931年）8月にインフルエンザによる肺炎で急逝し、64年の短い生涯を閉じました。

栄典

湯川は多くの栄典を受けており、1897年には従六位を、1895年には勲五等双光旭日章、また1928年には勲三等瑞宝章が贈られるなど、国家への貢献が評価されています。

参考文献

• - 『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。
• - 『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』、衆議院・参議院編、大蔵省印刷局、1990年。

湯川寛吉の業績は、住友グループの成長をいかに支えたかを示しており、彼の影響は今もなお残ります。

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