湯郷温泉

湯郷温泉（ゆのごうおんせん）

岡山県美作市に位置する湯郷温泉は、1200年以上の歴史を持つ由緒ある温泉地です。その起源は、延暦寺の円仁法師が西国巡礼の途中、傷ついた白鷺が湯で癒しているのを発見したという伝説に遡ります。この故事から、湯郷温泉は「鷺の湯」とも呼ばれ、共同浴場にその名残をとどめています。

古くから薬湯としても知られ、湯治客が温かい湯に長時間浸かる習慣がありました。奥津温泉、湯原温泉とともに美作三湯として名を馳せています。中国自動車道の開通により京阪神からのアクセスが向上し、多くのホテルや旅館が進出しましたが、かつての湯治場としての静けさは失われ、歓楽的な要素が強まりました。そのため、湯原温泉や奥津温泉が国民保養温泉地に選ばれる中、湯郷温泉は選外となっていました。

しかし、1990年代頃から湯郷温泉は新たな道を模索し始めます。水上温泉のように、レジャーやスポーツの拠点としての魅力を打ち出すため、ジョギングロードの整備、スポーツプラザ、ラグビー場、テニスコート、野球場、プールの建設など、温泉とスポーツを組み合わせた「健康リゾート」としての地位を確立しました。1994年と1995年には、TIサーキット英田でF1パシフィックGPが開催され、湯郷温泉は関係者の宿泊拠点として賑わいました。

2001年5月には、女子サッカークラブ「岡山湯郷Belle」が設立され、現在はなでしこリーグ2部に所属しています。2011年のFIFA女子ワールドカップと2012年のロンドンオリンピックでは、宮間あや選手と福元美穂選手の活躍により、湯郷温泉の名は日本中に知れ渡ることとなりました。

近年では、本来の湯の町情緒に回帰し、「湯めぐりコースター」を利用した温泉巡りも楽しめます。2005年の市町村合併を機に、官民一体となって家族で楽しめる温泉街、おもちゃを通じた街づくりを推進しています。2008年12月にはNゲージの鉄道模型を展示する「てつどう模型館」が開館し、2010年3月には美作地方に伝わる巨人伝説をモチーフにした三歩太郎のからくり時計が完成しました。また、木製玩具やアンティークオルゴールを収蔵・展示する「現代玩具博物館・オルゴール夢館」が移転開館し、同年9月には画家の竹中信清氏が収集したコレクションを展示する「あの日のおもちゃ箱・昭和館」が開館しました。2011年2月には、生まれ変わった温泉街をPRするため「おもちゃフェスティバル」を開催し、「おもちゃの街宣言」を行いました。

泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物泉（低張性弱アルカリ泉）で、源泉温度は40℃です。

温泉街の入り口には、吉野川にかかる鷺湯橋と、湯郷温泉を発見した円仁法師の像があります。20軒ほどの旅館やホテルが立ち並び、ボーリング場や玩具博物館などの施設もあり、湯治や保養だけでなく、歓楽的な要素も楽しめます。玩具博物館での工作教室や、ガラス工房、陶芸窯元などの体験型施設も点在しています。周辺の温泉地に比べて価格設定が安く、団体旅行の拠点としても利用されています。

料理には、地元の山の幸に加え、瀬戸内海と日本海の海の幸が届けられます。公衆浴場としては、湯郷鷺温泉館、村湯療養湯、足湯、市営露天風呂などがあります。

近隣には、岡山県美作ラグビー・サッカー場、岡山国際サーキット、現代玩具博物館・オルゴール夢館、てつどう模型館＆レトロおもちゃ館などの施設があります。

アクセスは、JR姫新線林野駅から宇野バス、赤磐市広域路線バス、美作共同バスで約6～8分、タクシーで約8分です。自家用車の場合は、中国自動車道美作インターチェンジから国道374号を経由します。

湯郷温泉は、温泉、温泉街、外湯、温泉番付などの要素を持ち、湯郷町、福井柑奈（観光大使・タレント）、岡山湯郷Belle（なでしこリーグ（L1））、宮間あや、福元美穂といった人々や団体とも関わりがあります。

関連リンク：
湯郷温泉旅館協同組合・湯郷温泉観光協会
現代玩具博物館・オルゴール夢館
てつどう模型館＆レトロおもちゃ館
湯郷温泉 - アットタウンWEBマガジン

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