源光保

源光保：栄華と転落の生涯

源光保は、平安時代末期に活躍した武将であり、院近臣としてその名を歴史に刻みました。摂津源氏の一族で、源光国の三男として誕生しました。光保の諱は諸説あり、『平治物語』では光泰、『愚管抄』では光康と記されています。

大治5年（1130年）、兄・光信の闘乱事件への連座により、光保は右兵衛尉の職を解かれますが、すぐに復職を果たしました。その後、兄の後を継いで鳥羽法皇の北面武士となり、娘である土佐局が法皇の寵妃となったことを機に、急速にその地位を高めていきます。仁平元年（1151年）の院昇殿を皮切りに、従四位下・出雲守、そして保元元年（1156年）には正四位下と、めざましい昇進を遂げました。これは当時の昇進速度としては異例のことでした。

保元元年、鳥羽法皇が崩御すると、光保は藤原信輔や信西らと共に、入棺の役を務めました。美福門院にも近かった光保は、その猶子である守仁親王（後の二条天皇）の側近となり、間もなく勃発した保元の乱では、甥の源光基と共に後白河天皇方として参戦し、勝利に貢献しました。

乱後、即位した二条天皇の親政派と、後白河上皇の院政派との対立が深まりましたが、光保は一貫して二条天皇側に付きました。平治元年（1159年）の平治の乱では、嫡男の光宗や甥の光基を率いて、藤原信頼・源義朝方に加勢しました。この乱で、光保は第一の攻撃目標であった信西を山城国で発見、殺害するという大きな功績を挙げました。

しかし、事態は急変します。親政派であった葉室惟方や大炊御門経宗の裏切りにより、二条天皇が内裏から脱出すると、光保は信頼方につく理由を失いました。当初は陽明門の守備に就いたものの、最終的には平清盛方に寝返るという決断を下します。乱直後は処罰を免れましたが、後白河院による二条親政派排除の動きの中で、光保の立場は危うくなっていきました。

永暦元年（1160年）6月、後白河院の命を狙ったという容疑で、光宗と共に逮捕され、薩摩国に配流となりました。そして、薩摩国川尻（現在の鹿児島県指宿市）で、光保は殺害されました。栄華を極めた光保の生涯は、まさに波乱に満ちたものであったと言えるでしょう。彼の行動は、当時の政治情勢の複雑さと、権力闘争の激しさを如実に示しています。また、光保の動向は、保元・平治両乱における勢力図の変化や、院政と親政の対立構造を理解する上で重要な手がかりとなります。彼の生涯は、平安時代末期の動乱期を生きた一人の武将のドラマとして、後世に語り継がれています。

系譜

父：源光国（1063-1148）
母：大中臣輔清の女
妻：不詳
男子：源光宗（1142?-1160）
男子：源光盛
女子：土佐局 - 二条天皇妃
女子：源重子 - 坊門局
養子：源全 - 多田禅師（源光国の子）

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