源彦仁

源彦仁（みなもと の よしひと）：鎌倉時代の皇族・公卿

源彦仁は、鎌倉時代中期から後期にかけて生きた皇族であり公卿です。順徳天皇の孫にあたり、忠成王の子として生まれました。最終的な官位は正三位・左近衛中将。

生涯

源彦仁の生涯は、後嵯峨天皇の皇女である月花門院（綜子内親王）との密通の噂から始まります。文永年間（1260年代）のこととされています。

永仁2年（1294年）に元服。永仁4年（1296年）には、二世王としての恩恵を受け、従四位下に叙せられ侍従に任じられます。翌永仁5年（1297年）には、4月に従四位上、6月に従三位、11月には正三位と、わずか1年間で五階級も昇進するという異例の昇進を遂げました。この間、左近衛中将にも任ぜられています。

しかし、その栄光は長くは続きませんでした。永仁6年（1298年）3月23日、左近衛中将正三位の官位のまま薨去。若すぎる死でした。

官歴

源彦仁の官歴は、『公卿補任』に詳しく記されています。

永仁2年（1294年）3月22日：元服
時期不詳：臣籍降下（源朝臣姓を賜る）
永仁4年（1296年）12月20日：従四位下（直叙）、侍従
永仁5年（1297年）2月19日：禁色を許される。4月10日：従四位上。6月25日：従三位。6月26日：侍従如元。11月14日：正三位
時期不詳：左近衛中将
永仁6年（1298年）3月23日：薨去（左近衛中将正三位）

系譜

源彦仁の父は忠成王、母は藤原範能の娘です。

父：忠成王
母：藤原範能の娘
妻：二条良実の娘
男子：忠房親王（1285-1347） - 二条兼基の猶子、後宇多天皇の養子
妻：三条公親の娘
男子：承鎮法親王 - 後宇多天皇の猶子
生母不明の子女
女子：守子内親王

まとめ

源彦仁は、皇族としての出自を持ちながらも、異例の昇進を遂げ、若くして亡くなった人物です。月花門院との関係など、その生涯は謎に包まれている部分も多く、歴史愛好家の間で関心を集めています。

参考文献
『公卿補任 第二篇』吉川弘文館、1982年
『尊卑分脈 第三篇』吉川弘文館、1987年

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