源氏物語 (1951年の映画)

映画『源氏物語』について

1951年（昭和26年）11月2日に公開された映画『源氏物語』は、大映が製作・配給した作品です。監督は吉村公三郎、脚本は新藤兼人が担当しました。この映画は、紫式部の長編小説『源氏物語』を初めて映像化したもので、大映の創立10周年を記念して、豪華なキャストとスタッフが集結し、大作として制作されました。

物語の構成

映画は、桐壺の死と光源氏の幼少期をプロローグとして、26歳頃の光源氏を中心に、約1年半の物語を描いています。原作の長大な物語を映画化するにあたり、新藤兼人は与謝野晶子の現代語訳を参考に脚本を執筆しました。また、明石の上と女三宮を統合した「淡路の上」というキャラクターを新たに創造しています。

制作の背景

当時、源氏物語はブームとなっており、この映画もその影響を受けて制作されました。制作には、谷崎潤一郎が監修、池田亀鑑が校閲、紫式部学会が後援として参加しており、原作への忠実性を追求した作品であることが伺えます。衣裳に関しては、髙島屋が全面協力しており、特に花の宴のシーンでは、30人の女官の衣裳代だけで予算をオーバーしたという逸話も残っています。

作品の特徴

当初、カラー作品として企画されましたが、技術的な問題からモノクロでの制作となりました。一部のロケは広島県福山市鞆の浦で行われました。映画は、1951年11月1日に帝国劇場で行われた大映創立10周年記念式典で先行上映され、翌11月2日に公開されました。

キャスト

主な出演者は以下の通りです。

光源氏：長谷川一夫
播磨入道：大河内傳次郎
藤壺：木暮実千代
葵の上：水戸光子
淡路の上：京マチ子
紫の上：乙羽信子

その他にも、堀雄二、本間謙太郎、菅井一郎、進藤英太郎、小沢栄など、数多くの実力派俳優が出演しています。

スタッフ

主なスタッフは以下の通りです。

監督：吉村公三郎
製作：永田雅一
企画：松山英夫
脚本：新藤兼人
監修：谷崎潤一郎
校閲：池田亀鑑
撮影：杉山公平
音楽監督：伊福部昭

受賞歴・評価

映画は、1951年度の邦画配収ランキングで第1位を獲得し、興行的にも成功を収めました。また、第25回キネマ旬報ベスト・テンで第7位に選ばれ、第5回カンヌ国際映画祭では撮影賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得ています。

その他

映画は123分で、モノクロ、スタンダードサイズで製作されました。映倫番号は483です。

外部リンク

日本映画データベース
allcinema
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