源義高 (清水冠者)

源義高：動乱の時代に散った若き武将

源義高（みなもと の よしたか）は、平安時代末期に活躍した武将で、源義仲の嫡男として知られています。幼名は清水冠者（しみずのかんじゃ）、または木曾義高とも呼ばれました。彼の生涯は、源平合戦という激動の時代に翻弄され、わずか12歳という若さでその幕を閉じました。

生い立ちと出自

義高は、河内源氏の流れを汲む信濃源氏の武将として生まれました。母は今井兼平の妹と推定されていますが、詳しい出自は史料によって異なり、その実名も「義高」以外に「義基」「義隆」「義重」「義衡」といった複数の名前が文献に記録されています。これらの記述の相違は、義高に関する説話的な要素や虚構が含まれている可能性を示唆しており、史実の特定を困難にしています。

人質としての鎌倉下り

寿永2年（1183年）、父・義仲は以仁王の遺児を奉じて勢力を拡大し、源頼朝とは独立した動きを見せていました。しかし、頼朝との対立を避けるため、義仲は11歳の嫡子・義高を人質として鎌倉に送ります。この時、義高は信濃の名族の子弟である海野幸氏や望月重隆らを伴い、頼朝の長女・大姫の婿となる名目で鎌倉へと下りました。この縁談は政略的なものであり、義高と大姫は又従兄妹という関係でした。

父・義仲の敗北と義高の窮地

義高が鎌倉に滞在している間、父・義仲は平氏を破り入京を果たしますが、京の統治に失敗し、後白河法皇と対立するようになります。さらに、頼朝も追討軍を派遣し、義仲は宇治川の戦いで敗北し討たれてしまいます。父の死は、鎌倉に人質としていた義高の立場を大きく悪化させました。

鎌倉脱出と最期

義仲の死後、頼朝は義高の誅殺を企てます。その情報を知った大姫は、義高を密かに逃がそうと計画します。義高は同年の側近・幸氏と入れ替わり、女房姿に変装して大姫の屋敷を脱出しますが、その夜のうちに露見。激怒した頼朝は、義高の追討を命じ、義高は武蔵国で捕らえられ、入間河原で討ち死にしました。わずか12歳という若さでした。

死後の影響と供養

義高の死を知った大姫は悲しみのあまり病に伏せ、母・政子は、大姫を病気にさせたのは義高を討ったせいだと怒り、義高を討った郎従・藤内光澄を晒し首にしました。現在、神奈川県鎌倉市にある常楽寺には、義高の墓と伝わる塚（木曽塚）があります。また、狭山入間河原には義高を祭神とする清水八幡という小祠が建てられています。

義高をめぐる人々

義高の側近であった海野幸氏と望月重隆は、その後も頼朝に仕え、鎌倉幕府の御家人として活躍しました。また、義高の生涯は、後世にテレビドラマや小説など様々な形で語り継がれています。

まとめ

源義高は、源平合戦という激動の時代に、人質という過酷な運命を背負い、若くして散った悲劇の武将です。その短い生涯は、時代の波に翻弄された人々の姿を今に伝えています。彼を巡る史実と伝説は、多くの人々を魅了し、今なお語り継がれています。

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