溝口宣直

溝口宣直（みぞぐち のぶなお）は、江戸時代前期の大名であり、越後国新発田藩の3代目藩主です。

生涯

慶長10年（1605年）、2代目藩主・溝口宣勝の長男として新発田に生まれました。幼名は久三郎、初名は溝口俊勝と称しました。後に宣直と改名しています。

寛永5年（1628年）、父・宣勝の死去に伴い家督を継ぎました。この時、弟の宣秋に6,000石、宣俊に5,000石、宣知に4,500石を分与したため、新発田藩の所領は5万石となりました。宣直は幕府に対し、江戸城の石垣普請などの役務に服しました。

寛永10年（1633年）には、阿賀野川の決壊という未曾有の事態に見舞われ、藩を挙げて対応に当たりました。その後も、徳川家光の上洛に随行したり、島原の乱の際には江戸城の守備を務めたり、加藤明成が改易された際には若松城に在番したりしました。さらに、下館城在番、大坂城番、勅使饗応役など、多岐にわたる役職を歴任しました。

また、現在もその美しい姿を留める清水園の基礎となる清水谷御殿を築いたのは、この宣直の時代です。しかし、藩内では大洪水や大火事が頻発し、江戸でも明暦の大火（振袖火事）が起こって、藩財政は多大な支出を被りました。これに対し、新発田川の治水工事を実施して解決を試み、ある程度の成果を収めましたが、依然として財政難に苦しむこととなりました。

寛文12年（1672年）9月7日、長男の重雄に家督を譲り隠居しました。延宝4年（1676年）11月22日に江戸で72歳で亡くなっています。江戸の正燈寺（現在の台東区竜泉）を開基しました。法号は寒光院殿禅林味歇大居士です。3男4女をもうけました。

系譜

父: 溝口宣勝
母: 長寿院 - 堀秀政の娘
正室: 稲葉一通の娘 - 死別
継室: 森川重俊の娘 - 死別
長男: 溝口重雄
継々室: 平松時庸の娘 - 当初は側室、死別
継々室: 平松時庸の娘 - 先室の妹
生母不明の子女
次男: 主殿 - 早世
三男: 溝口直倫 - 左兵衛、信濃国飯田藩主堀氏の分家旗本・堀親泰の養子となり、堀助右衛門親行と改名
長女: 久 - 慈光院、近江仁正寺藩主市橋政信継室
次女: 千代 - 早世
三女: 六 - 分家の交代寄合横田溝口家当主溝口宣就正室
四女: 辰 - 旗本・板倉重行正室


溝口宣直は、藩主として様々な困難に立ち向かいながらも、その治世において藩の発展に尽力した人物と言えるでしょう。

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