溝口重雄

溝口重雄：新発田藩政を確立した名君

溝口重雄（みぞぐち しげかつ）は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した大名で、越後国新発田藩の第4代藩主です。彼は、藩政の確立に大きく貢献し、文化人としても名を残しました。

生涯

重雄は、3代藩主・溝口宣直の長男として生まれ、幼名は久三郎と名付けられました。初めは宣廣と称していましたが、後に重雄と改名しました。

寛永17年（1640年）に徳川家光に初めて謁見し、慶安4年（1651年）には従五位下・信濃守に叙任されました。寛文12年（1672年）に父の隠居により家督を継ぎ、藩主となります。天和元年（1681年）以降、松平光長改易後の高田城三の丸の守衛を数度にわたり務めました。元禄12年（1699年）には、江戸麻布新堀の普請を務めた功績により、幕府から褒美を賜っています。

宝永3年（1706年）に隠居し、家督を長男の重元に譲り、悠山と号しました。同5年（1708年）に76歳で亡くなり、法号は勝林宗慧悠山院。墓所は江戸駒込の吉祥寺にあります。生涯で4男7女をもうけました。

藩政への貢献

重雄の治世は、前代に発生した大火と震災で焼失・破損した新発田城の再建をはじめ、法制の整備や総検地の実施など、積極的な政策が展開され、新発田藩政の確立期と評価されています。これらの政策は、藩の財政基盤を強化し、領民の生活を安定させることに貢献しました。

文化人としての側面

重雄は、文芸・芸能にも深く心を寄せていました。隠居の際には、刀剣のほかに冷泉為尹筆の『古今和歌集』や冷泉持為筆の『後撰和歌集』を将軍家に献上しています。また、溝口悠山の名で茶人としても知られ、怡渓宗悦の教えを受けて同人の流派を藩内に伝え、越後怡渓派の基礎を築きました。

父・宣直が造営した清水谷御殿には、江戸から幕府庭方の県宗知を招き、庭園を築かせました。この庭園は、現在の清水園（国指定名勝・旧新発田藩下屋敷（清水谷御殿）庭園）として、その美しい姿を今に伝えています。

系譜

父：溝口宣直
母：森川重俊の娘
正室：松平信綱の養女 - 大河内松平正綱の娘
継室：酒井忠勝の娘
子女：4男7女
長男：溝口重元
次男：市橋直方
三男：外記
四男：逸見元長
長女：早世
次女：よめ - 戸川安宣継室
三女：加井 - 稲葉知通正室
四女：きい - 酒井忠予正室
五女：せい - 松平定陳正室
六女：峯 - 宗義倫正室
七女：早世

溝口重雄は、藩政の確立に尽力する一方で、文化的な活動も積極的に行った、多才な大名でした。彼の功績は、今日まで新発田の歴史に深く刻まれています。

もう一度検索