滝平二郎

滝平 二郎（たきだいら じろう）

概要

滝平二郎は、日本の版画家およびきりえ作家として知られています。1921年に茨城県で生まれ、2009年に他界するまで、その豊かな創作活動によって多くの人々に影響を与えました。彼は日本美術会の委員や日本児童出版美術家連盟の会員、日本きりえ協会の代表委員を務め、その業績が評価されています。

来歴

滝平は茨城県新治郡玉川村（現：小美玉市）で誕生しました。彼の実際の誕生日は4月10日ですが、父親の意向で学校入学を早めるために4月1日と届け出をしたとのことです。彼は茨城県立石岡農学校（現：茨城県立石岡第一高等学校）に通い、在学中に風刺漫画に興味をもっていました。

1938年に農学校を卒業後、若林一男や高林宏一とともに漫画研究同人展を開きましたが、彼のキャリアは木版画へと移行しました。1941年に徴兵検査で乙種合格となり、1942年には造形版画協会の第6回展に初めて出品しました。

1943年には豊橋第一陸軍予備士官学校に入学し、士官として飛行第20戦隊に配属されました。この間、彼の部隊は何度も移動し、最終的には沖縄に到達しました。沖縄戦では数々の苦難を経験し、1945年にアメリカ軍による沖縄上陸が始まると、彼は捕虜となりました。1946年に復員し、日本美術会に参加し、その後の活動の基盤を築きました。

1955年頃からは東京都豊島区に移住し、木版画の制作の傍らで本格的に装幀や挿画の仕事を始めました。1967年には、斎藤隆介との共作による絵本『ベロ出しチョンマ』を発表し、以降も多くの絵本を手掛けました。

1970年から1977年にかけては、朝日新聞の日曜版にきりえ作品を連載しました。2005年には、つくばエクスプレス守谷駅に設置されたステンドグラスの原画と監修を担当しました。

主な作品

滝平の作品は多岐にわたりますが、彼自身の著作物としては、次のようなものがあります。『はだかの王さま』や『きりえの世界』など、版画ときりえの要素を活かした作品が多く、他にも数多くの作品集が出版されました。また、斎藤隆介との共著による挿絵も数多く残されています。

彼が手掛けた挿絵には、『八郎』や『モチモチの木』などがあり、これらは日本の絵本文化において重要な位置を占めています。彼の作品の多くは自然や風景、人々の生活をテーマにしており、日本の美しい四季を感じさせます。

受賞歴

滝平二郎は、その優れた作品により、数々の賞を受賞しています。例えば、1970年には『花さき山』により第1回講談社出版文化賞ブックデザイン部門を受賞しました。また、1974年度にはモービル児童文化賞を受賞し、絵本に関する業績も評価されています。

まとめ

滝平二郎は、日本の版画界において重要な存在であり、その多彩な芸術活動により多くの人々に影響を与えてきました。彼の作品は、きりえや絵本を媒介に日本の文化や風景を伝える役割を果たしています。2009年に亡くなった彼の遺した多くの作品は、今でも多くの人々に親しまれています。近年では彼の作品展も開催され、再評価が進んでいます。

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