日本美術会

日本美術会について

日本美術会（略称：日美）は、日本の美術が自由かつ民主的に発展し、新たな価値を生み出すことを目的として設立された美術団体です。第二次世界大戦前のプロレタリア美術運動を経験した鈴木賢二や岡本唐貴らが創立に参加したことで知られています。また、初代書記長の内田巌が藤田嗣治の戦争責任を追及したことでも注目を集めました。

創立と初期の活動

創立時の委員には、須田国太郎、林武、児島善三郎、岡鹿之助、柳原義達、土方定一など、美術界を代表する著名な画家や彫刻家が名を連ねました。1949年から1950年代末にかけては、野口弥太郎、水沢澄夫、井上長三郎、別府貫一郎、吉井忠、新海覚雄、箕田源二郎、硲伊之助、中島保彦らが委員長や書記長として活動を牽引しました。1960年前後には、桂川寛、中野淳、金野新一、澤田俊一といった新進気鋭の美術家たちが事務局長に選ばれ、団体の活性化に貢献しました。

社会運動への参加

1990年代には、東京都美術館の予算削減案に対し、美術家平和会議や全日本職場美術協議会と連携し、都知事や都議会、教育庁に再三にわたって申し入れを行いました。また、2003年には、「ノー・ウォー美術家の集い横浜」が発表した反戦アピール「戦争？やめてよ!!!」に団体として賛同するなど、社会的な問題にも積極的に関わっています。機関誌として『美術運動』を刊行し、年1回発行しています。

日本アンデパンダン展

日本美術会は、1947年から無鑑査・無褒章の自由出品による美術展「日本アンデパンダン展」を開催しています。フランスのアンデパンダン展をモデルに、東京都美術館を会場として始まりました。この展覧会は、既存の美術界に新風を吹き込み、多くの美術家が参加する場となりました。読売新聞社が後に同じ名称の展覧会を開催した際には、名称問題が起こりましたが、日本美術会が元祖であり、現在も継続して開催されています。

出品作家

これまでに、硲伊之助、井上長三郎、森芳雄、鶴岡政男、中村宏、司修、川島猛、本郷新、佐藤哲三、小野忠重、中島保彦、中谷泰、いわさきちひろ、市村三男三、鳥居敏文、浅野琢也、山本弘、若林景光、桂川寛、箕田源二郎、新海覚雄、河原温、砂澤ビッキ、寺田政明、高山良策、高塚省吾、増山麗奈など、多くの著名な美術家が出品しています。

イデオロギーの影響と変遷

初開催から1950年代にかけては、アメリカや西欧の芸術を退廃的とする「スターリン＝ジダーノフ路線」の影響を受け、「頽廃文化」反対をスローガンに掲げていました。同時に、「民主民族美術建設」のスローガンは、当時の日本共産党の政策と連動していました。1960年代前半には、前衛芸術を含めた多様な流派の美術家の結集を目指しましたが、ソ連や東ドイツ、キューバなど社会主義国の芸術家との交流を深め、社会主義リアリズムを賛美する傾向が強まりました。この結果、イデオロギー対立が起こり、若手育成が十分に進まなかったという指摘もあります。

沿革

1946年4月：自由学園講堂で創立総会を開催
1947年1月：機関誌『美術運動』を創刊
1947年12月：第1回日本アンデパンダン展を開催
1948年11月：第2回日本アンデパンダン展を開催。柳瀬正夢、靉光など戦争犠牲者の作品を特別展示
1948年12月：第2回大会で、委員長に硲伊之助、書記長に永井潔を選出
1964年2月：第17回日本アンデパンダン展に日本リアリズム写真集団が初参加
1966年7月：日本民主主義美術研究所（民美）を設立
2008年3月：第61回日本アンデパンダン展の会場を国立新美術館に変更

その他の活動

日本美術会は、機関誌の発行だけでなく、講演会やシンポジウムなどの開催も行い、美術に関する知識の普及や議論の活性化に努めています。また、若手美術家の育成にも力を入れており、展覧会やワークショップなどを通して、後進の育成にも取り組んでいます。

公式情報

公式サイト
日本美術会 日本アンデパンダン展 (nichibianntenn) - Facebook

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