滝野 (札幌市)

滝野（たきの）

滝野は、北海道札幌市南区の南東部に位置する地域です。その歴史は、札幌の開拓時代に深く根ざしています。

歴史

明治初期、滝野一帯は深い森に覆われ、札幌の木材供給地として重要な役割を果たしていました。1879年（明治12年）には、開拓使によって82馬力の水車を備えた厚別（あしりべつ）水車器械場が建設されました。しかし、経営は難航し、赤字が累積しました。

1882年（明治15年）に開拓使が廃止されると、工場の管轄は工部省札幌工業課に移り、その後、農商務省北海道事業管理局札幌工業事務所へと引き継がれました。1884年（明治17年）には厚別木挽場と改称されました。工場は、周辺の木材資源が枯渇する明治20年代前半まで稼働を続けました。

木材工場の閉鎖後、滝野一帯は一時的に無人となりましたが、1899年（明治32年）に阿部仁太郎が土地の貸下げを受け、開墾を開始しました。入植者の多くは大曲からの移住者で、阿部から土地の分譲を受けました。工場閉鎖から時が経っていましたが、1902年（明治35年）には「器械場」という地名が付けられました。

1913年（大正2年）には、開拓記念碑が建立され、地域の歴史を今に伝えています。1944年（昭和19年）には、アシリベツの滝にちなんで、地名が滝野へと改称されました。

1953年（昭和28年）には、周辺の土地がアメリカ軍の演習地として接収され、過疎化が進みました。軍の撤収後、1960年（昭和35年）には演習場の跡地に農地を共同所有する「パイロットファーム」が開設されましたが、経営はうまくいきませんでした。しかし、1970年代から始まった滝野すずらん丘陵公園の建設によって、滝野は観光地として再び活気を取り戻しました。

公園の造成に伴い、1982年（昭和57年）には神社と開拓記念碑が公園の北側に移設されています。

自然

滝野は、隣接する清田区有明と同様に、滝が多い地域です。これは、約4万年前に支笏湖を形成した火山の火砕流堆積物が厚く堆積し、その一部が溶結凝灰岩となっていることが理由です。特に強溶結の部分は硬く、川の下方浸食を受けにくいため、柔らかい火山灰地層との境目で高低差が生じ、滝が形成されます。滝が浸食により後退していく過程で、川の本流と支流の合流点を越えると、本流に加えて支流にも新たに滝が生まれることがあります。この地形的な特徴が、滝野に多くの滝が存在する理由と考えられています。

主な河川と山：

厚別川
野牛山

滝：

アシリベツの滝
鱒見の滝

施設

滝野には、自然と触れ合える様々な施設があります。

滝野すずらん丘陵公園：広大な敷地を持つ国営公園で、四季折々の花々や自然を満喫できます。
滝野自然学園：自然体験学習施設。
滝野神社：地域の守り神として祀られています。
真駒内滝野霊園：広大な敷地の中に、モアイ像やストーンヘンジなどがあることで知られています。

参考文献

前田寿嗣『歩こう！札幌の地形と地質』北海道新聞社、2007年5月10日。ISBN 978-4-89453-410-0。
青木由直『札幌の秘境』北海道新聞社、2009年6月15日。ISBN 978-4-89453-507-7。
片岡秀郎『札幌歴史散歩』ヒルハーフ総合研究所、2012年7月14日。ISBN 978-4-9906400-0-2。
“アシリベツ山器械場”. 南区開拓夜話. 札幌市南区 (2011年). 2016年5月4日閲覧。

外部リンク

* 札幌市南区役所

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