漢州

漢州（かんしゅう）とは

漢州は、中国にかつて存在した州であり、唐代から民国初年にかけて、現在の四川省徳陽市一帯に設置されていました。その歴史は、行政区分や名称の変更を経て、最終的に広漢県となりました。

唐代の漢州

686年（垂拱2年）、唐朝は益州を分割し、新たに漢州を設置しました。この時、漢州は政治・経済・文化の中心地としての役割を担い始めます。しかし、742年（天宝元年）には、漢州は徳陽郡と改称され、一時的にその名を変えます。その後、758年（乾元元年）には再び漢州と改称され、剣南道に属し、雒・徳陽・什邡・綿竹・金堂の5県を管轄しました。この時期の漢州は、唐朝の地方行政における重要な拠点の一つでした。

宋代の漢州

宋代に入ると、漢州は成都府路に属し、雒・什邡・徳陽・綿竹の4県を管轄しました。宋代の漢州は、農業生産や商業活動が活発に行われ、地域経済の中心としての役割を果たしました。しかし、南宋の端平年間には、漢州は一度廃止されることになります。具体的な廃止理由については記録が残っていませんが、当時の社会情勢や政治的な判断が影響したと考えられます。

モンゴル帝国と明・清代の漢州

1260年（中統元年）、モンゴル帝国は再び漢州を設置し、成都路に属させました。この時の漢州は、什邡・徳陽・綿竹の3県を管轄しました。モンゴル帝国の支配下に入ったことで、漢州は新たな支配体制のもとで再出発することになります。明代に入ると、漢州は成都府に属し、什邡・徳陽・綿竹の3県を管轄しました。明代の漢州は、農業生産の安定化や商業の発展に力が入れられ、地域の経済的な繁栄を支えました。清代に入ると、漢州は成都府に属し、什邡県を管轄するようになりました。清代の漢州は、社会の安定と秩序の維持に重点が置かれ、地域の平和と繁栄を支えました。

中華民国時代の終焉

1912年、中華民国が成立すると、漢州はその歴史に幕を閉じ、広漢県と改められました。これにより、漢州という名前は地図から消え、新たな時代を迎えることになります。漢州が広漢県と改名された背景には、当時の政治的な状況や社会的な変化があったと考えられます。

漢州は、その長い歴史の中で、行政区分の変更や名称の変更を経験しながらも、常に地域の中心としての役割を果たしてきました。その歴史は、現代の四川省徳陽市一帯の発展に大きな影響を与えています。

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