澤村四郎五郎 (5代目)

五代目 澤村 四郎五郎（新字体：沢村）

五代目 澤村 四郎五郎（1877年9月15日 - 1932年8月27日）は、明治から昭和初期にかけて活躍した歌舞伎役者であり、映画俳優。屋号は紀伊國屋、俳名に三鵆。本名は澤野 乙吉。

生涯

東京日本橋馬喰町で生まれた澤村四郎五郎は、11歳で三代目中村福助に師事し、中村福次の名で初舞台を踏みました。主に女形として経験を積み、1901年には七代目澤村訥子の門下となり澤村國之助と改名。その後、七代目澤村宗十郎と共に帝国劇場の専属俳優となります。

1914年、五代目澤村四郎五郎を襲名。設立されたばかりの映画会社・天然色活動写真（天活）に迎えられ、当初は帝劇出演の合間に匿名で主演を務めました。2年後には名乗りを上げ、映画俳優に専念。吉野二郎監督の作品に数多く出演し、天活のスターとして一時代を築きます。天活の消滅後は、国際活映（国活）や松竹蒲田撮影所、松竹京都撮影所などでも活躍しました。

1920年代に入ると、日本映画は欧米のスタイルに影響を受け始め、歌舞伎の影響が強い旧劇映画は徐々に衰退。四郎五郎も1924年に映画界を離れ、自ら一座を率いて各地を巡業しました。

現存する出演作品としては、『五郎正宗孝子伝』(1915年、天活)、『天竺徳兵衛』(1916年、天活)、北条時宗役を演じた『日蓮上人 龍乃口法難』（1920年、国活）などがあります。墓所は多磨霊園にあります。

エピソード

澤村四郎五郎は200本以上の映画に出演。大正初期には、日活の牧野省三監督と尾上松之助による忍術チャンバラ映画が人気を博していました。四郎五郎は市川莚十郎とのコンビで同様の作品を量産し、尾上松之助の好敵手として人気を二分しました。面長でスレンダーな体型は女性ファンから人気を集めました。

四郎五郎の忍術映画は、松之助の映画よりも撮影や現像が美しく、俳優も優美でしたが、大衆的な人気を得るには至りませんでした。しかし、熱狂的なファンも存在し、「松之助党」や「四郎五郎党」などと名乗り、映画雑誌の読者欄で激しい論争を繰り広げました。

関連項目

枝正義郎
吉野二郎

外部リンク

沢村四郎五郎 - 日本映画データベース
旧劇映画の大スター 澤村四郎五郎再考｜はじまりの日本劇映画　映画meets歌舞伎

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