濵田尚里

濵田尚里：寝技で世界を制した柔道家

濵田尚里（はまだ しょうり）は、1990年9月25日生まれ、鹿児島県霧島市出身の女子柔道家、サンビストです。78kg級の選手として、2021年開催の東京オリンピック柔道女子78kg級で金メダルを獲得しました。山梨学院大学を卒業後、自衛隊体育学校に所属し、現在は幹部自衛官（一等陸尉）として活躍しています。

人物

右59kg、左64kgという握力を持ち、右組みを基本としています。得意技は内股で、趣味はコーヒータイムとケーキ作りという一面も。試合では感情を表に出さない冷静さも持ち合わせています。

経歴

幼少期から中学校時代

10歳の時に兄の影響で柔道を始めました。小学生時代は特別強い選手ではありませんでしたが、誰よりも練習熱心でした。霧島市立国分南中学校では男子柔道部のみであったため、女子同士で誘い合って入部し、県大会レベルの選手として活動しました。中学校の同級生には、ロンドンオリンピックバレーボールで銅メダルを獲得した新鍋理沙が、1年後輩にはプロ野球選手の大瀬良大地がいます。

高校時代

鹿児島南高校に進学後、監督から徹底的に寝技を指導され、得意技として磨き上げました。インターハイでは決勝で敗れ2位、団体戦では3位という結果でした。海外大会にも出場し、5位入賞を果たしました。高校3年生の時には、長渕剛の楽曲「卒業」の作詞にも関わったというエピソードがあります。

大学時代

山梨学院大学に進学し、全日本ジュニアで3位に入賞しました。ユニバーシアード柔道競技では5位。大学では柔道部の監督の勧めにより、寝技の幅を広げる目的でサンボにも取り組み始めました。ロシアでの合宿にも参加し、プーチン大統領杯サンボ選手権大会、ハルランピエフ記念国際サンボ選手権大会で優勝するなど、柔道以外の分野でも才能を発揮しました。

自衛隊入隊後

2013年に自衛隊体育学校に入校。ユニバーシアードのサンボ競技で優勝を果たしました。2014年には、サンボの世界選手権で優勝。柔道とサンボ、両方の寝技技術を融合させ、自身の柔道スタイルを確立していきました。国内の柔道大会でも実績を重ね、講道館杯やグランドスラム東京などで上位入賞を果たしました。

2021年、東京オリンピック柔道女子78kg級では、決勝でマドレーヌ・マロンガを破り、金メダルを獲得。オリンピック初出場にして、日本柔道史上最年長での金メダル獲得という記録を打ち立てました。試合は全て一本勝ちという圧倒的な内容で、寝技の強さを世界に示しました。

柔道スタイル

濵田は「寝技師」「寝技職人」などと称されるように、寝技を得意としています。試合では、内股や大内刈りなどの立ち技でポイントを狙いながらも、巴投げや隅返などの寝技に繋がる技も織り交ぜて試合を組み立てます。一度寝技に持ち込むと、関節技や絞め技を駆使して確実に一本を取りにいきます。

特に、相手がうつ伏せになった状態からの帯取り返しや腕がらみは、濵田の得意とする必勝パターンとして知られています。総合格闘家の青木真也は、濵田の強さについて「寝技と立ち技の中間の『ギワ』を取るのが本当にうまい」と評価しています。

憧れの柔道家は、寝技の神様と称される柏崎克彦。高校時代に柏崎の試合映像を繰り返し見て研究し、自身の柔道スタイルに取り入れていきました。

戦績

数々の大会で優秀な成績を収めています。

2018年 世界柔道選手権大会 優勝
2021年 東京オリンピック 優勝

まとめ

濵田尚里は、寝技という武器を磨き上げ、柔道界に新たな風を吹き込んだ選手です。東京オリンピックでの金メダルは、彼女の努力と才能の結晶であり、多くの人々に感動を与えました。今後も、指導者として、柔道界の発展に貢献してくれることでしょう。

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