瀋陽級駆逐艦

瀋陽級駆逐艦（Shenyang-class destroyer）

瀋陽級駆逐艦は、中国人民解放軍海軍が運用するミサイル駆逐艦であり、NATOコードネームは「旅洲型」（Luzhou-class）です。この艦級は051C型駆逐艦としても知られ、特にその強力な対空能力が特徴です。

歴史的背景

中国海軍は1995年の第三次台湾海峡危機を経て、アメリカ海軍の圧倒的な軍事力を目の当たりにし、自国の駆逐艦の能力に疑問を持つようになりました。これに応じて、1999年から2000年にはロシアから956E型駆逐艦を２隻導入し、さらに空母計画を考慮した新型駆逐艦の整備に着手しました。1990年代中期から始まったDDG整備計画では、多艦級の少数艦の建造が方針として掲げられ、瀋陽級はこの計画の一部として進行しました。

最初は956E型の就役に際し、同系列の052B型（広州級）が建造され、その後052C型（蘭州級）が続きました。しかし、052B型は保守的な設計、一方052C型は開発段階で未確定な要素が多かったため、性能確認のために本級が建造されることとなりました。

設計と機関

瀋陽級の設計は、051B型（旅海型）の進化を基盤にしていますが、ステルス性への配慮はされていません。推進システムは、ドイツ製MTUディーゼルエンジンとウクライナ製ガスタービンエンジンを組み合わせたCODOG方式を採用しています。この設計は、052A型から引き継がれていますが、主機関は蒸気タービンとする説も存在します。

装備

本級の最大の特徴は、リフ-M艦隊防空ミサイル・システムの搭載です。このシステムは、ロシア製のS-300FM「フォールト-M」ミサイルの輸出型で、SA-N-20として知られています。

垂直発射システムはロシアのスラヴァ級ミサイル巡洋艦と同様の8連装リボルバー式が採用され、艦の前後に計6基が搭載されています。ミサイルの最大射程は約200キロメートルで、火器管制レーダーとしては30N6E（NATO名「ツーム・ストーン」）が装備され、多機能的な役割を果たします。

また、艦対艦ミサイルとして国産のYJ-83を装備し、前部煙突の直後に4連装発射筒が配置されています。さらに、艦橋上にはロシア製のMR-331「ミネラルME」が搭載され、主砲の射撃指揮にも利用されます。

同型艦と運用状況

現在、瀋陽級の全艦は北海艦隊に配属されており、2014年12月には駆逐艦第1支隊に所属していることが確認されています。2012年10月には、海自のP-3C哨戒機が、海上自衛隊の太平洋から東シナ海への航行を捉え、この艦隊には旅滬型駆逐艦や江衛型、江凱型フリゲート艦が含まれていたと報じられています。

瀋陽級駆逐艦は、今後の海軍戦略における重要な役割を担い、対空防御や艦隊支援能力の強化に寄与することが期待されています。

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