瀬川菊之丞 (2代目)

二代目瀬川菊之丞（1741年 - 1773年）は、江戸時代中期に活躍した歌舞伎役者であり、特に女形としてその名を馳せました。屋号は濱村屋、俳名として路考を名乗り、その人気から「王子路考」とも呼ばれました。

生い立ちと初舞台

菊之丞は、武蔵国王子（現在の東京都北区）の富農・清水半六の息子として生まれ、幼名は徳次といいました。5歳の時に初代瀬川菊之丞の養子となり、瀬川権次郎と名乗りました。1750年、9歳で二代目瀬川吉次を襲名し、中村座で養父の一周忌追善として『石橋』を演じたのが初舞台です。この舞台で、早くもその才能の片鱗を見せました。

二代目瀬川菊之丞の襲名

1756年、市村座の顔見世において、初代菊之丞が演じた『百千鳥娘道成寺』を演じ、二代目瀬川菊之丞を襲名しました。翌年には、若女形の筆頭に抜擢されるなど、その人気は不動のものとなりました。菊之丞は、その美貌だけでなく、卓越した演技力で観客を魅了し、時代物、世話物など幅広い役柄をこなしました。

『鷺娘』の初演と人気

菊之丞の最も有名な功績の一つに、現在の歌舞伎や日本舞踊の人気演目である『鷺娘』の初演が挙げられます。この演目は、菊之丞の優美な舞姿と情感豊かな表現によって、観客を魅了しました。ただし、当時どのような振り付けであったかは、現在には伝わっていません。また、菊之丞は、その人気から「路考髷」「路考茶」「路考櫛」など、彼の名前を冠したものが庶民の間で流行しました。この流行は、菊之丞が単なる役者ではなく、当時の文化を牽引する存在であったことを示しています。

平賀源内との関係

菊之丞は、男色家であった平賀源内との親密な関係が知られています。二人は、芸術に対する共通の情熱を共有し、互いに影響を与え合ったと言われています。二人の関係は、当時の文化人や芸術家の間で大きな話題となりました。

人物像

菊之丞は、美貌と才能に恵まれただけでなく、常に新しい表現を追求する革新的な精神の持ち主でした。その芸術に対する情熱は、後の歌舞伎界に大きな影響を与え、現代でも多くの人々に愛される役者です。

まとめ

二代目瀬川菊之丞は、その短い生涯の中で、歌舞伎の世界に多大な貢献をしました。特に、女形としての彼の活躍は、その後の歌舞伎界に大きな影響を与えました。また、その人気は歌舞伎の枠を超え、江戸の文化を象徴する存在となりました。

参考文献

野島寿三郎編『歌舞伎人名事典』（新訂増補）日外アソシエーツ、2002年

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