火渡館

火渡館（ひわたりだて）

火渡館は、現在の岩手県遠野市附馬牛町上附馬牛字火渡に位置していた、戦国時代の日本の城です。築城時期は明確にはわかっていませんが、旧陸奥国閉伊郡上附馬牛村に存在していました。

地理的特徴と構造

城跡は、猿ヶ石川と荒川の合流地点から北東へ約500メートルの距離にある丘陵上に築かれています。東西に長く伸びる丘陵の頂上部分を平坦に造成し、東西約300メートル、南北約100メートルの広さを持っています。この平坦面は数段の曲輪に分かれており、城郭としての機能を高めていました。特に東側の稜線基部には、防御施設として3本の空堀が設けられ、敵の侵入を防ぐ役割を果たしていました。また、北側、西側、南側の斜面には、帯曲輪が数段にわたって配置されており、全方位に対する防御体制が構築されていました。

歴史

戦国時代、この地は阿曽沼氏の一族である阿曽沼中務が領有し、火渡館に居住しました。阿曽沼中務は、附馬牛氏、または火渡氏とも呼ばれていました。彼の息子である火渡広家（のちに玄浄と号す）は、慶長5年（1600年）に発生した阿曽沼一族の内紛に加担しなかったため、鱒沢氏らによって火渡館を攻められました。火渡広家は、火渡館での激しい攻防戦の末に討ち死にを遂げました。

まとめ

火渡館は、阿曽沼氏一族の盛衰を物語る重要な城郭であり、その構造は戦国時代の типичная местная 防衛戦略を反映しています。現在も残る遺構は、当時の激戦の様子を静かに伝えています。

参考資料
「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 3 岩手県』角川書店、1985年3月8日。ISBN 4-040-01030-2。
児玉幸多、坪井清足『日本城郭大系第2巻 青森・岩手・秋田』新人物往来社、1980年7月15日。
[岩手県]]教育委員会『岩手県中世城館跡分布調査報告書』 82巻、1986年3月30日、240頁。[https://sitereports.nabunken.go.jp/63039。

関連項目
日本の城一覧

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