点群 (データ形式)

点群（ポイントクラウド）とは

点群（てんぐん）またはポイントクラウド（英: point cloud）とは、コンピュータ上で扱う点の集合のことです。多くの場合、3次元空間における物体の形状を、その表面や内部の観測点の直交座標（x, y, z）の集合として表現します。各点には、色などの属性が付随することもあります。

点群の概要

点群は、主に3次元スキャナーを用いて作成されます。3次元スキャナーは、物体の表面を自動的に計測し、多数の点の3次元座標を点群データとして出力します。レーザー光を物体に照射し、その反射を計測する原理を利用しているため、データは原則として物体の表面形状を表し、内部の状況は表現できません。

点群は、様々な分野で応用されています。例えば、部品の3次元CADモデル作成、計測による品質管理、可視化処理、アニメーション、レンダリング、マスカスタマイゼーションなどが挙げられます。

点群データは、そのままレンダリングすることも可能ですが、各種の3次元処理には適さない場合が多くあります。そのため、データを面形式に変換し、ポリゴン、不整三角網（TIN）メッシュ、非一様有理Bスプライン（NURBS）曲面、CADモデルなどとして扱うのが一般的です。面への変換には、ドロネー三角形分割やアルファシェイプ法など、点の位置から面を生成する手法や、点群を3次元距離場に変換し、陰的表面を生成する手法が用いられます。

点群の応用

点群は、工業的な検査においても重要な役割を果たします。製造された部品の点群データと、設計上のCADモデルとの差を比較することで、部品の品質を検査できます。両者の差異は、色で視覚的に表現することが可能です。また、点群データからサイズや公差などの情報も計測できます。

医療分野では、点群データから得られた立体データが、医用画像処理などに用いられています。点群を用いることで、データ量を削減し、効率的な処理が可能になります。

地理情報システム（GIS）では、点群をもとに地面の数値標高モデル（DEM）を作成できます。これにより、地形の3次元的な表現や分析が容易になります。

点群のデータ形式

点群データの元となるのは、レーザーによる測定データであり、測定装置と物体との相対距離です。地理情報システムにおいて、地物の位置を正確に表すためには、測定装置の絶対座標（緯度、経度、標高）をGPSなどで計測し、この座標を点群データに加えます。この際、GPSによる点群取得時刻も合わせて記録し、（緯度、経度、標高、時刻）の形式で表現されることがあります。

さらに、物体の表面の色彩をRGB座標で表現することも可能です。この場合、レーザーの照射方向にカメラを向け、得られた画像の相当位置の色彩データを取得し、（緯度、経度、標高、時刻、R（赤成分）、G（緑成分）、B（青成分））のように表します。

関連技術

点群に関連する技術やソフトウェアには、以下のようなものがあります。

Euclideon: 点群データを効率的に処理する技術を提供する企業。
MeshLab: 3Dメッシュ処理ソフトウェア。
CloudCompare: 点群およびメッシュデータを処理するためのオープンソースソフトウェア。
Point Cloud Library (PCL): 点群処理のためのオープンソースライブラリ。

これらの技術やツールを活用することで、点群データの様々な処理や応用が可能になります。

参考文献

点群に関する詳しい情報については、以下の参考文献をご参照ください。

[参考文献1]
[参考文献2]

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