烏丸光亨

烏丸光亨：幕末から明治期を生きた華族の奇才

烏丸光亨（からすまる みつゆき、1865年3月4日-1909年12月9日）は、激動の時代を生きた稀有な人物です。公家・烏丸光徳の次男として京都で生まれ、幼名・紀伊佐丸、のちに亨二郎と名乗りました。幼少期から非凡な才能を示し、やがて華族としての地位を確立する一方、その奔放な生き様は人々を惹きつけました。

華麗なる家系と波乱の生涯

光亨の出自は、由緒ある公家・烏丸家です。1867年には従五位下に叙爵され、将来を嘱望されました。しかし、その後修学を理由に辞職。1873年、父の死去により家督を継ぎ、烏丸家の家長となりました。

その後、1884年には伯爵に叙爵。華族社会において、光亨は類まれな存在でした。その奇抜な行動の数々は、「華族中の奇人」という異名を生み出しました。しかし、その一方で、詩文や書道においても高い才能を発揮しており、芸術面でも高い評価を得ていたと伝えられています。

実業界への進出と晩年

光亨は、華族としての立場にとどまらず、積極的に実業界にも進出しました。その活動内容の詳細は史料に乏しいものの、多方面にわたる才能と行動力を活かし、社会に貢献しようとした意志が感じられます。

1909年、44歳の若さで肝臓癌のため、日本赤十字社病院で生涯を閉じました。その死は、周囲に大きな衝撃を与えたと言われています。

著作と親族

光亨は、直接的に著作を残したという記録は少ないです。しかし、1910年に出版された『運勢学秘事全集皆伝』の校閲に関わったとされています。これは、彼の多岐にわたる関心に光を当てていると言えるでしょう。

光亨の家族構成も興味深いものです。母は久世通理の三女である久世隨姫、妻は勘解由小路資生の六女である烏丸操子です。長男である烏丸光大は伯爵となり、掌典を務めました。また長女の花子は烏丸尊弘と結婚しています。三男の七条光明は、七条信義の養子となりました。これらの家族関係は、当時の貴族社会の複雑な繋がりを反映しています。

謎多き人物像

烏丸光亨は、史料が少なく、その生涯は未だ謎に包まれた部分も多いです。しかし、残された断片的な情報から、その才能と個性、そして時代背景を理解することで、幕末から明治へと移り変わる激動期を生き抜いた一人の人物像をより深く知ることができます。彼の奇抜な行動や多才ぶりは、現代においても私たちに様々な想像を掻き立て、興味深い存在として記憶されています。

参考文献

霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成』上巻、霞会館、1996年
大植四郎編『明治過去帳』新訂初版、東京美術、1971年（原著私家版1935年）
人事興信所編『人事興信録』第2版、1908年
『烏丸家譜』1875年。東京大学史料編纂所所蔵

もう一度検索