無線方位信号所

無線方位信号所とは

無線方位信号所は、航路標識の一種であり、電波を用いて船舶の位置を知らせる電波標識局です。海上保安庁交通部によって運用されており、「電波灯台」とも呼ばれることがあります。多くの場合、灯台に併設されており、特定の無線電波を発信することで、付近を航行する船舶に方位や位置を伝え、安全な航行を支援する役割を果たしています。

船舶の位置特定の仕組み

海上を航行する船舶は、無線方位信号所から発信される電波を、船に搭載された無線方向探知機で測定します。複数の灯台から発信される電波を受信し、それぞれの方向を測定することで、自船の位置を正確に特定できます。この技術は、特に視界の悪い状況下での航行において、船舶の安全を確保する上で重要な役割を果たします。

無線方位信号所の種類

無線方位信号所は、使用する周波数帯によって、以下の二つに大別されます。

1. 中波標識局：中波無線標識（中距離・近距離用）を用いるタイプです。このタイプの無線標識は、常時または定期的に電波を発信し、船舶に搭載された方向探知機で方位を測定することで利用されます。有効範囲は約200kmです。

2. マイクロ波標識局：マイクロ波無線標識（近距離用）であるレーマークビーコンまたはレーダービーコンを用いるタイプです。

レーマークビーコン：通称「レーマーク」と呼ばれ、船舶のレーダーが送信局と対面したときに、レーダー映像上に送信局の方向を示す破線を表示します。有効範囲は約37kmです。しかし、日本ではGPS測定機器の普及に伴い、2009年度までに全廃されました。
レーダービーコン：船舶のレーダーが発する電波に応答して電波を発信し、送信局の位置を知らせるシステムです。有効範囲は9kmから17kmです。

また、中波標識局とマイクロ波標識局の両方の機能を備えた無線方位信号所も存在します。

無線方位信号所の役割

無線方位信号所は、船舶の航行における安全確保のために重要な役割を担っています。特に、悪天候や夜間など視界が悪い状況下では、電波による位置情報の提供は、船舶が正確な航路を維持し、危険を回避するための不可欠な手段となります。

関連情報

海運：船舶による海上輸送に関わる産業全般
LORAN：長距離無線航法システムの一つ
電子基準点：GPSなどの衛星測位システムを利用するための基準となる点
無指向性無線標識：全方向に電波を発信する無線標識

外部リンク

海上保安庁ホームページ
航路標識の種類と基数

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