無脊椎動物天然記念物一覧

無脊椎動物 天然記念物一覧

日本の文部科学大臣が指定した、無脊椎動物に関する天然記念物の一覧です。このリストでは、文化財保護法に基づき国（文部科学大臣）が指定した天然記念物のみを取り上げ、地方自治体が指定したものは含みません。天然記念物の指定は、その動物種や生息地が学術的に貴重であり、保護が必要と判断された場合に行われます。以下に、指定されている主な無脊椎動物とその生息地を説明します。

特別天然記念物

昆虫類

ミカドアゲハ：高知県高知市に生息するミカドアゲハとその生息地が指定されています。この地域は、ミカドアゲハの生息に適した環境が保たれており、その生態を研究する上で貴重な場所となっています。
ゲンジボタル：滋賀県米原市には、長岡のゲンジボタルとその発生地が特別天然記念物として指定されています。この地域は、ゲンジボタルが多数生息する場所として知られています。

軟体動物

ホタルイカ：富山県富山市と魚津市にまたがる海域は、ホタルイカの群遊海面として特別天然記念物に指定されています。春には、ホタルイカが青白い光を放ちながら群れをなして泳ぐ様子が観察できます。

アサヒヒョウモン：日本国内の限られた地域に生息するチョウで、その美しい模様が特徴です。
ウスバキチョウ：高山に生息するチョウで、翅が薄いことが名前の由来です。
オガサワラアメンボ：小笠原諸島に生息する固有種のアメンボです。
オガサワライトトンボ：小笠原諸島に生息する固有種のトンボです。
オガサワラクマバチ：小笠原諸島に生息する固有種のハチです。
オガサワラシジミ：小笠原諸島に生息する固有種のチョウです。
オガサワラセスジゲンゴロウ：小笠原諸島に生息する固有種のゲンゴロウです。
オガサワラゼミ：小笠原諸島に生息する固有種のセミです。
オガサワラタマムシ：小笠原諸島に生息する固有種のタマムシです。
オガサワラトンボ：小笠原諸島に生息する固有種のトンボです。
カラフトルリシジミ：北方系のチョウで、国内では限られた地域に生息しています。
キマダラルリツバメチョウ：鳥取県鳥取市に生息するキマダラルリツバメチョウとその生息地が指定されています。このチョウは、美しい青色が特徴です。
ゲンジボタル：宮城県栗原市の沢辺、登米市の東和町、長野県下高井郡山ノ内町の志賀高原石の湯、愛知県岡崎市、滋賀県米原市の息長、京都府京都市の清滝川、徳島県吉野川市の美郷、山口県長門市の木屋川・音信川、山口県山口市、福岡県みやま市・筑後市の船小屋など、多数の地域でゲンジボタルの発生地が指定されています。これらの地域は、ゲンジボタルが生息する上で重要な環境を維持しています。
ゴイシツバメシジミ：生息地が限られているチョウで、その保護が重要視されています。
シマアカネ：特定の地域に生息するトンボで、希少性が高い種です。
ダイセツタカネヒカゲ：高山に生息するチョウで、その生態が研究対象となっています。
ハナダカトンボ：特徴的な形態を持つトンボで、生息地が限られています。
ヒメチャマダラセセリ：小さなチョウで、その生息環境が保護されています。
ヒメハルゼミ：茨城県笠間市の片庭、千葉県茂原市の鶴枝、新潟県糸魚川市の能生で、ヒメハルゼミの発生地が指定されています。このセミは、春先に鳴くことで知られています。
ヘイケボタル：徳島県吉野川市の美郷では、ゲンジボタルと並んでヘイケボタルも発生しており、その生息地が指定されています。
ミンミンゼミ：北海道川上郡弟子屈町の和琴では、ミンミンゼミの発生地が指定されています。
ヤンバルテナガコガネ：沖縄県北部の森林に生息する希少なコガネムシです。
ルーミスシジミ：奈良県奈良市に生息するルーミスシジミとその生息地が指定されています。

節足動物（昆虫以外）

ニホンザリガニ：秋田県大館市のザリガニ生息地が指定されています。ニホンザリガニは、国内に生息する在来種で、その保護が重要です。
カブトガニ：岡山県笠岡市と佐賀県伊万里湾のカブトガニ繁殖地が指定されています。カブトガニは、古代から生き残っている貴重な生物です。
オカヤドカリ：沖縄県などの海岸に生息するオカヤドカリも、保護対象となっています。

軟体動物

カサガイ：小笠原諸島に生息するカサガイ類が指定されています。
小笠原諸島産陸貝：ヤマキサゴ科、クビキレガイ科、カワザンショウガイ科など、多くの科に属する小笠原諸島の固有種が指定されています。これらの貝類は、非常に限られた地域に生息しており、絶滅の危機に瀕しているものもいます。

原索動物

ナメクジウオ：愛知県蒲郡市の大嶋と広島県三原市に、ナメクジウオの生息地が指定されています。ナメクジウオは、脊椎動物の進化を研究する上で重要な生物です。

生物群集

旧白金御料地：東京都港区と品川区に位置し、特徴的な昆虫類が多数生息しています。この地域は、都心に残された貴重な自然環境です。
深泥池生物群集：京都府京都市に位置し、多様な昆虫が生息しています。深泥池は、水生昆虫にとっても重要な生息地です。
指月山：山口県萩市に位置し、ミカドアゲハが生息しています。この地域は、ミカドアゲハの生息地として学術的に貴重です。
万之瀬川河口域のハマボウ群落及び干潟生物群集：鹿児島県南さつま市に位置し、ハクセンシオマネキやコメツキガニなどの甲殻類、ハマグリなどの貝類、環形動物、紐形動物などが生息する貴重な干潟環境です。

過去に指定されていた天然記念物

十六島ホタルエビ発生地：千葉県香取市にありましたが、昭和57年に指定が解除されました。
狛江淡水クラゲ発生地：東京都狛江市にありましたが、昭和45年に指定が解除されました。
* 鎌田川のゲンジボタル発生地：山梨県中巨摩郡昭和町にありましたが、昭和51年に指定が解除されました。ミヤイリガイ駆除の影響でカワニナが減少し、ゲンジボタルも減少しました。

これらの天然記念物は、日本の生物多様性を守る上で非常に重要な役割を果たしています。それぞれの種や生息地を保護し、後世に引き継いでいくことが求められています。

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