焦礼

焦礼（しょう れい）は、明代に活躍した軍人であり、字（あざな）は尚節（しょうせつ）と称しました。1382年5月5日に生まれ、1463年1月14日に82歳でこの世を去りました。彼はモンゴルの出身であり、その生涯は明朝の軍事において重要な役割を果たしました。

焦礼の家系は、彼の父である把思台（はしたい）が洪武年間に明に帰順したことに始まります。把思台は通州衛指揮僉事（つうしゅうえいしきけんじ）という役職に就き、その後、息子の焦勝（しょうしょう）、焦義栄（しょうぎえい）へとその地位は引き継がれました。しかし、焦義栄に子がなかったため、焦勝の弟である焦謙（しょうけん）が跡を継ぎ、その功績により都指揮同知（としいどうち）にまで昇進しました。焦謙の死後、子の焦管失奴（しょうかんしつど）が幼かったため、焦謙の弟である焦礼が指揮僉事の職を継ぎ、遼東の守備を任されることになりました。

宣徳帝（せんとくてい）の時代初め、焦礼は本来、焦管失奴に職を返す立場でしたが、宣徳帝は焦礼の辺境守備の功績を認め、そのまま職にとどまるよう命じました。同時に、焦管失奴も指揮使に任命されました。焦礼はその後も功績を重ね、都指揮同知に累進し、1441年（正統6年）11月には都指揮使（としいしき）に昇進、1443年（正統8年）3月には寧遠（ねいえん）の守備を担当することになりました。

1445年（正統10年）7月、焦礼は左軍都督僉事（さぐんととくけんじ）に任じられ、1447年（正統12年）春には、総兵の曹義（そうぎ）や参将の胡源（こげん）らと共に東辺を巡視しました。この時、ウリヤンハイ三衛が侵入してきた際には、焦礼らはこれを討伐しました。同年4月には都督同知（ととくどうち）に昇進し、1449年（正統14年）4月には右都督（うととく）に進みました。

同年8月、英宗（えいそう）が土木の変でオイラト軍に捕らえられるという事件が発生すると、焦礼は景泰帝（けいたいてい）の命により左副総兵（さふくそうへい）となり、寧遠を守備しました。10月にはエセン・ハーンが北京に迫ったため、焦礼は軍を率いて北京城に入り、防衛に尽力しました。オイラト軍が撤退した後、焦礼は再び寧遠に戻りました。

1453年（景泰4年）11月、北方遊牧民が遼東の興水堡を侵犯すると、焦礼はこれを撃退し、その功績により左都督（さことく）に進みました。1457年（天順元年）1月、英宗が復辟すると、焦礼は辺境守備の功績を認められ、北京に召喚されて入朝しました。同年2月には東寧伯（とうねいはく）に封じられ、その爵位は世襲されることが許されました。その後、焦礼は寧遠に戻りました。しかし、兵部は焦礼が80歳に近かったことから、単独での任務は不適切であるとして、都指揮の鄧鐸（とうたく）を派遣し、共同で守備に当たるよう上奏しました。焦礼は鄧鐸が人を欺き侮る傾向があるとして、別の人物と交代させるよう求め、英宗は鄧鐸に代えて都指揮の張俊（ちょうしゅん）を派遣するよう命じました。

1463年（天順7年）1月、焦礼は寧遠で82歳で亡くなりました。その死後、東寧侯（とうねいこう）の位を追贈され、諡（おくりな）は襄毅（じょうき）とされました。焦礼の孫である焦寿（しょうじゅ）が、彼の爵位を継承しました。

焦礼の生涯は、明朝の安定と発展に大きく貢献しました。彼は、父の代から明朝に仕え、遼東の守備で多くの功績を上げ、土木の変では北京の防衛にも貢献しました。その功績は、明朝において高く評価されています。

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