煎じ薬

煎じ薬（せんじぐすり）について

煎じ薬とは、生薬を水で数十分かけて煮出し、液体の形で摂取する飲み薬のことを指します。生薬自体もこの煎じ薬と呼ばれることがあります。特に漢方の世界では、「湯液（とうえき）」という名称で知られ、漢方薬の約80%がこの煎じ薬の形式に該当します。

漢方薬と煎じ薬

漢方薬には多様な薬形が存在し、「湯」と名の付くものや「飲」、「煎」といった語がつく薬は煎じて用いるものです。代表的な煎じ薬には葛根湯（かっこんとう）や桂枝湯（けいしとう）が含まれます。また、漢方薬には丸薬や粉薬、塗り薬といった形もあり、場合によっては粉にして服用される「散」タイプの生薬も煎じて使用されることが多いです。

近年では、錠剤や顆粒状のエキス剤が一般的になりつつありますが、あえて煎じ薬を選ぶ漢方専門の医師も少なくありません。彼らは、煎じ薬の特異ityに注目し、薬効の成分だけではなく、煎じる際の香りや味わいが持つ複雑な成分に基づく効果も重視しています。また、患者の体質や健康状態に合わせて生薬の調合を変えることができる点も、煎じ薬の魅力と言えるでしょう。エキス剤ではそのような柔軟な調整ができません。

薬の煎じ方

古代の医学書『傷寒論』や『金匱要略』には、煎じ薬の作り方について詳細に記載されています。これらの古典文献には、薬味を水に加える順序や煎じ方の変則が記されており、特定の技術が求められます。しかし、現代では比較的シンプルな手順が一般化しています。

煎じ薬を作る際には、まずは土瓶やアルマイト、ステンレス製のやかんなどを用意します。ただし、銅や鉄製の器具は生薬の成分に影響を及ぼす可能性があるため、避けるべきです。次に、選んだ生薬とともに水を氏名にやや強火で沸騰させます。その後は弱火にして、薬液が元の量の半分程度になるまで煮続けます（約一合五勺）。煮出したら、すぐに滓（かす）を濾して別容器に移し、ぬるま湯程度の温度で、食事の合間に飲みます。

まとめ

煎じ薬は、ただの飲み薬ではなく、その味や香り、煎じ方なども含めて患者に合った形で調整される特別な薬です。漢方の専門医によって、その成分や効用が最大限に引き出されることを目的としており、服用する人の体に必要なエッセンスを届ける役割を担っています。これにより煎じ薬は、漢方医療の中で重要な位置を占めています。

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