熊谷圭知

熊谷 圭知（くまがい けいち）

熊谷圭知は、1954年に生まれた日本の地理学者で、社会文化地理学、特にパプアニューギニアを中心としたオセアニア地域研究やジェンダー・男性性の研究を専門としています。お茶の水女子大学の名誉教授として、その知見を広め多くの業績を残してきました。

経歴

東京都目黒区で出生した熊谷氏は、父親が岩手県陸前高田、母親が盛岡市出身です。幼少期は東京工業大学の官舎で過ごし、その後名古屋市に移り住みました。教育を受ける中で、社会学の一橋大学へ進学し、大学院では社会地理学を学びました。ここで竹内啓一教授の指導のもと、入江敏夫や栗原尚子といった他の教授の教えも受けました。当時、ゼミには水岡不二雄や礒部啓三、山本健兒といった先輩たちが在籍していました。

大学院では、パプアニューギニア大学への留学を経験し、以降、頻繁にパプアニューギニアに渡航することになります。そこで地域研究と開発実践の分野で様々な活動に取り組みました。1982年には博士課程を中途退学し、九州大学文学部の助手としてキャリアを開始。1985年には阪南大学に移り、その後1992年にお茶の水女子大学へと進むことになりました。

お茶の水女子大学では、大学院の開発・ジェンダー論コースやグローバル文化学環の設立に大きな役割を果たしました。2011年の東日本大震災の後は、大学の仲間と共に陸前高田地域に定期的に赴き、復興に向けた支援活動を行いました。

2017年には、「移動・開発・場所とフィールドワーク パプアニューギニアの動態地誌」により九州大学から博士（文学）を取得しました。また、2019年には『パプアニューギニアの「場所」の物語』を発表し、2020年度の人文地理学会賞と日本地理学会賞を受賞するという成功も収めました。

2020年3月にはお茶の水女子大学を定年退職しましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で最終講義は中止されました。代わりに、2022年5月にはホームカミングデイで講演会が行われました。

主な著書

熊谷氏の著書には以下のような作品があります:

• - 単著

- 『パプアニューギニアの「場所」の物語 動態地誌とフィールドワーク』（九州大学出版会、2019年）
- 『つながりの地理学 マイノリティと周縁からの地誌』（古今書院、2022年）

• - 共編書

- （塩田光喜との共編）『マタンギ・パシフィカ 太平洋島嶼国の政治・社会変動』（日本貿易振興機構アジア経済研究所、1994年）
- （西川大二郎との共編）『第三世界を描く地誌 ローカルからグローバルへ』（古今書院、2000年）
- （塩田光喜との共編）『都市の誕生 太平洋島嶼諸国の都市化と社会変容』（日本貿易振興機構アジア経済研究所、2001年）
- （片山一道との共編）『朝倉世界地理講座 15: 大地と人間の物語 オセアニア』（朝倉書店、2010年）
- （小林誠、三浦徹との共編）『グローバル文化学 文化を越えた協働』（法律文化社、2011年）

• - 共訳書

- （内藤耕、葉倩瑋との共訳）『ノーマネー、ノーハネー ジャカルタの女露天商と売春婦たち』（木犀社、1994年）

参考資料

熊谷圭知に関連する資料は多く、彼の学問的貢献や活動は多岐にわたります。また、彼の研究に関する特別インタビューが『お茶の水地理』第59巻に掲載されています。さらには、研究者情報や文献情報も多く提供されています。これらはKAKENやresearchmap、J-GLOBAL、CiNii Researchなどで確認できます。

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