熱海城

熱海城

熱海城は、静岡県熱海市南部の海岸線に突き出た錦ヶ浦の頂上に位置する観光施設です。ここは歴史上の城郭が存在した場所ではありませんが、昭和時代に観光目的で建てられた天守閣風の建築物であり、熱海市内でも有数の絶景スポットとして知られています。

概要

この城郭風建物は、1959年（昭和34年）に海抜約100メートルの高台に築かれました。日本の伝統的な城郭の天守を模した鉄筋コンクリート造りで、外観は五重、内部は九層という特徴的な構造を持っています。屋根には、彫刻家・浅野祥雲氏の手による見事な金鯱が輝いています。ここからは、眼下に広がる熱海市街をはじめ、遠く初島や伊豆大島、そして広大な相模灘までを一望することができます。特に、建物の最上階にあたる6階のパノラマ展望台からの眺めは圧巻で、天候の良い日には、さらに遠くの東京スカイツリーや横浜ランドマークタワーの姿を望遠鏡越しに捉えることも可能です。

城の敷地内には、約208本の桜が植えられており、例年3月下旬から4月上旬にかけては「熱海城桜まつり」が開催され、多くの花見客で賑わいます。また、熱海城はその特徴的な外観から、過去には特撮映画の舞台としても登場しました。1962年に公開された『キングコング対ゴジラ』や1967年の『大巨獣ガッパ』といった作品で、迫力あるシーンのロケ地となっています。

かつては建物の地下に温泉施設があったり、隣接する離れが宿泊施設として利用されていた時期もありましたが、これらは現在では閉鎖されています。現在も使用されている展望台の直下には、かつての古い展望台の構造がそのまま残されているといいます。

館内施設と料金

熱海城の館内は、ただの展望台としてだけでなく、様々な趣向を凝らした展示やアトラクションで構成されています。主なフロア構成は以下の通りです。

6階：パノラマ展望天守閣 - 360度の絶景を楽しめる最上階。
5階：江戸体験コーナー - 江戸時代の文化や遊びを体験。
4階：江戸の謎絵・遊び絵 - 不思議で楽しい江戸時代の絵画展。
3階：浮世絵・春画展 - 美しい浮世絵や春画を鑑賞できます。
2階：
日本城郭資料館 - 日本各地の城郭に関する資料を展示。
萩原一青画伯「名城再現ふるさとの城」展 - 城郭画家の作品を展示。
マッチ棒城郭模型/名人の作る芸術品 - 精巧なマッチ棒模型を展示。
1階：
武家文化資料館 - 鎧、日本刀、火縄銃など武具を展示。
米粒人形の店 一風堂 - ユニークな米粒アートの店。
売店コーナー - 熱海土産などを購入可能。
無料マッサージチェア - 休憩に利用できるサービス。
ジェット足湯 - 景色を眺めながらリラックスできる足湯。
* 地下1階：無料遊戯施設 - 誰でも自由に遊べる卓球、ボルダリング、大型ボールプール、無料ゲーム機などが設置されています。

これらの施設を楽しむための入場料は、大人が1,100円、小・中学生が600円、3〜6歳のお子様が450円です。また、敷地内にある熱海トリックアート迷宮館との共通券も販売されており、こちらは大人が1,800円、小・中学生が950円、3〜6歳が700円とお得になっています。

敷地内施設

熱海城の敷地内には、錯覚を利用した不思議なアートが楽しめる「熱海トリックアート迷宮館」が西側に、そして海を見ながら食事ができる「海の見える喫茶&レストラン ヒルトップテラス」が東側にそれぞれ併設されています。

交通アクセス

熱海城へのアクセスは、車の場合、国道135号線の錦ヶ浦トンネル南側交差点から案内に従って坂を上がります。公共交通機関を利用する場合、JR熱海駅からはタクシーで約10分です。路線バスでは、「湯〜遊〜バス」を利用すれば「熱海城」バス停で目の前に停車します。伊豆東海バスの伊東・網代行きバスに乗車する場合は「錦ヶ浦」バス停で下車後、徒歩約10分です。また、アタミロープウェイを利用して山頂駅で降りれば、そこから徒歩約1分という便利な立地です。

この観光施設は、株式会社ミナックスによって運営されています。また、作家・小松左京氏の小説『明日泥棒』にも、登場人物が熱海城に立て籠もる場面があるなど、文化的な側面でも言及されることがあります。

歴史上の城郭ではないものの、熱海城はその素晴らしい眺望と、子供から大人まで楽しめる多彩なアトラクションを備えた、熱海観光において欠かせないスポットの一つとなっています。

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