爆笑寄席

「爆笑寄席」「爆笑家族」

関西テレビ放送（KTV）が制作し、1960年代末から1970年代にかけて放送されたコントバラエティ番組『爆笑寄席』、そして1975年秋に改題・リニューアルされた『爆笑家族』について解説します。

『爆笑寄席』の挑戦的なコメディスタイル

『爆笑寄席』は、1969年10月5日に放送を開始しました。当初は毎週日曜日の夕方5時から30分枠で放送されていましたが、1975年4月からは金曜日の夜7時からの時間帯に移動しました。番組タイトルに「寄席」と含まれているため、伝統的な演芸番組を連想させますが、その実態は、「体力の限界に挑戦する！」「笑わぬ人は許さない！」といった挑戦的なキャッチフレーズを掲げ、ドタバタ色の強いナンセンス・コントを主体とした異色のバラエティでした。

当時の関西のお笑い界では、吉本興業と松竹芸能といった主要な芸能プロダクションの間で、過去のタレント移籍などを巡る複雑な経緯から、所属芸人の共演が少ない状況でした。しかし、『爆笑寄席』は、横山やすし・西川きよしさんやコメディNo.1といった吉本興業所属の看板芸人が中心となりつつも、松竹芸能をはじめとする他事務所のタレントも積極的に起用していました。これは、在阪局が制作する番組としては非常に珍しい試みであり、番組の特色の一つとなっていました。

『爆笑家族』へのリニューアル

1975年10月3日、番組は『爆笑家族』と改題され、内容もリニューアルされました。放送時間帯は『爆笑寄席』の後期と同じ金曜夜7時からの30分枠で、1976年3月26日まで放送されました。『爆笑家族』は、『爆笑寄席』のドタバタコントから一転、スタジオを舞台にしたコメディNo.1を中心とするドラマ仕立てのシチュエーションコメディへと変更されました。番組の後半では、坂田利夫さんが「弟」と呼ぶ、当時の人気特撮ヒーロー「ジャンボマックス」をパロディ化した大きなぬいぐるみキャラクター「ジャンボサカターン」が登場するなど、リニューアル後もユニークな要素を取り入れていました。

番組を彩った出演者たち

両番組には、当時関西を中心に活躍していた多くの人気お笑い芸人、タレントが出演しました。メインを担った横山やすし・西川きよし、コメディNo.1をはじめ、夢路いとし・喜味こいし、中田ダイマル・ラケット、海原お浜・小浜といったベテラン漫才師、横山ノック、レツゴー三匹、間寛平、木村進、笑福亭鶴瓶など、吉本新喜劇や漫才・落語界で活躍する面々が出演。また、東京からトリオ・スカイラインなどのゲスト出演もあり、多岐にわたる才能が集結していました。

放送ネットワーク

制作局である関西テレビでは、前述の通り日曜夕方から金曜夜へ放送時間が移動しました。また、FNS系列局を中心に一部の地方局でも時差ネットまたは一部期間で同時ネットで放送されていました。放送局や時期によって時間帯は異なり、秋田テレビ、富山テレビ、石川テレビ、福井テレビ、東海テレビ、テレビ新広島、山陰中央テレビ、テレビ愛媛、テレビ宮崎などで放送実績がありました。

『爆笑寄席』そして『爆笑家族』は、型破りなコントや異例の事務所を跨いだ出演者構成など、当時の関西のテレビバラエティにおいて独自の存在感を放った番組と言えるでしょう。

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