爆裂都市 BURST CITY

映画『爆裂都市 BURST CITY』の概要

『爆裂都市 BURST CITY』（ばくれつとし バースト・シティ）は、1982年に公開された日本のSFアクション映画であり、石井聰亙（後の石井岳龍）監督の8作目となる作品です。本作は東映セントラルフィルムによって配給されました。映画はカラーで、画面のアスペクト比は1:1.85（アメリカンビスタ）となっています。また、音声フォーマットはモノラルで、映倫番号は110719/110719-T（予告編）です。

この作品は、1980年に石井監督が発表した自主制作映画『狂い咲きサンダーロード』の成功を受けて、彼の次なる挑戦として生まれました。荒廃した近未来が舞台の本作では、過激なパフォーマンスを行うロックバンドに熱中する若者たちと、その行動を取り締まろうとする武装警察との衝突、さらには暴力団による強制労働や立ち退きに対するスラムの住民たちの反乱が同時に描かれています。

主なキャスト

本作のメインキャストには、ミュージシャンが多く起用されています。中でも陣内孝則は本作が俳優としての初主演となり、その後の活動に大きな影響を与えました。他にも大江慎也、町田町蔵（後の町田康）、泉谷しげるなどが名を連ねています。

当初、石井監督は泉谷しげるのSFアクションのイラスト「Eストリートのならずもの」を映画化しようと考えていましたが、これは廃案となりました。次に、ノンフィクション作家の戸井十月による暴走族もの「シャコタン・ブギ」の映画化を構想しましたが、これも実現しませんでした。最終的に『爆裂都市 BURST CITY』というタイトルが生まれ、戸井が企画、原作、脚本を手掛けたものの、石井監督が納得せず、秋田光彦との共同作業で脚本を全面的に書き直しました。

ストーリー

物語は「湾岸特別指定地区304」と呼ばれる場所から始まります。この地区は、工場や高架道路に囲まれ、スラムや繁華街が形成されています。毎週土曜日の夜、ライブハウス「20000V」では、ラジオDJの呼びかけを合図にロックバンドが対立し、激しいパフォーマンスが行われます。若者たちは熱狂し、やがて禁止された音楽を取り締まる武装警察との対決が繰り広げられます。

ストーリーは、チンピラの黒沼が地元の政治家に情婦を接待したことから始まります。この接待は、原発の利権に食い込もうとする暴力団の計画の一部でした。次々と描かれる暴動や抗争の様子は、社会の混乱を象徴しています。特に目を引くのは、口の利けない兄弟が登場し、彼らが再び暴力団に立ち向かうシーンです。兄弟はかつて両親を虐殺した霧島に復讐するため、彼を追い詰めていきます。

音楽とその影響

映画の音楽も、作品の雰囲気を構築する重要な要素です。バトル・ロッカーズやザ・スターリンの楽曲が重要な役割を果たしています。特にザ・スターリンの風刺的なパフォーマンスは、観客に衝撃を与えました。

映画の評価と影響

公開当時、本作はその過激さが賛否を呼びましたが、時間が経つにつれてカルト的な人気を得ることとなります。石井監督のスタイルは、映像表現の新しい可能性を開くものであり、特に日本映画において感覚的な体験を追求した作品としての評価を得ています。映画の中身よりも映像の迫力や雰囲気に焦点を当てたスタイルが、視覚的な衝撃を与え、観る者に鮮烈な印象を残しました。

本作は、2021年には東映の公式YouTubeチャンネルで特別配信されるなど、再評価の流れに乗っています。こうした経緯を経て、『爆裂都市 BURST CITY』は今なお強い影響を与え続ける作品として語り継がれています。

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