片山摂三

片山摂三の生涯と業績

片山摂三（かたやませつぞう、1914年3月22日 - 2005年3月23日）は、日本の著名な写真家です。彼は、ロシアのシベリアに生まれながら、福岡県久留米市で育ちました。彼の孤独な子供時代は、1929年に父を病気で失ったことを契機に始まります。この悲しみが、彼の人生や作品にどのように影響したのかを考えることは、彼の芸術理解を深める手助けとなるでしょう。1932年には、福岡県立中学明善校を卒業後、西南学院専門学校で学び、家業の営業写真館を協力する形でキャリアをスタートしました。

初期のキャリアと成長

彼は、1932年に疋田晴久から写真技術を学び始め、1935年には21歳という若さで営業写真を撮り始めます。その後、彼は日本写真サロンや日本写真美術展、国際写真サロンなどで作品が入選し、その名を広めていきました。日本写真家協会に参加し、肖像写真において特に高い評価を受けることになります。

特に1960年頃から、河北倫明の紹介により、日本の文豪やアーティストたちを次々と撮影しました。彼が撮影した人物には、志賀直哉や梅原龍三郎、武者小路実篤、白洲正子、片岡球子、鈴木大拙など、昭和の日本を代表する著名人が含まれています。すべての費用は不可欠でしたが、彼の情熱と自己負担で成り立ちました。

写真技術と作風

片山の作風は、35mmカメラを用いて、自然光だけを利用した独特のスタイルで知られています。彼はしばしばモデルの自宅や仕事場で撮影を行い、その場の雰囲気や光に応じて巧みに明暗を操りました。被写体の個性を引き出す技術は高く評価され、観る人に深い印象を与えました。

彼の作品は、1964年に開催された「現代美術家の肖像写真展」（日本橋三越）で発表され、後に『芸術家の肖像』（1994年、中央公論美術出版）としてまとめられました。彼の肖像作品は、時間を経ても色褪せることのない価値を持ち続けています。

出版と教育活動

写真家としての活動に加え、片山は1958年に九州大学教授の谷口鉄雄との共著で『日本の石仏』を発表し、1972年には大佛次郎、平田寛との共著で『国宝富貴寺』を出版するなど、多方面で活躍しました。また、1967年からは九州産業大学大学院で25年間にわたり、写真美術論を教えました。

彼の博識さと熱意が学生たちに良い影響を与え、多くの後進に影響を与えたことは、彼の教育者としての貢献として評価される部分です。1986年には福岡市文化賞を受賞し、その功績が認められました。

展覧会と晩年

1989年には「片山攝三写真展 モノクロームの軌跡50年」が開催され、1996年には「芸術家の肖像」という回顧展が行われました。多くの写真愛好家や学生に影響を及ぼした彼の活動は、これで終わることはなく、没後も今なおその影響は続いています。2005年に彼が死去したことは、彼の多くのファンにとって大きな損失でした。2019年には、彼が経営する片山写真館が閉館しましたが、彼の作品や影響は今もなお多くの人々の心に生き続けています。

もう一度検索