片岡常春

片岡常春の生涯とその足跡

片岡常春（かたおか つねはる）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて名を馳せた武将であり、その生涯には多くの激動がありました。彼は両総平氏の一族に属し、海上庄司常幹の子として生まれました。彼の通称は太郎、次郎、八郎など多様で、片岡の地名は常陸国鹿島郡に由来しています。しかし、彼の本拠地は下総国三崎荘に位置していました。

常春はその生涯の中で、非常な運命に翻弄されました。養和元年（1181年）の3月、彼の一族が源頼朝との対立を深める中、佐竹氏と婚姻関係を結んでいたため、頼朝から謀反の疑いをかけられました。その結果、下総に派遣された雑色が捕らえに来ると、常春は彼らに暴力を振るい、縛り上げて晒し者にするという行為を行ったため、さらなる罪が重なり、彼の所領は没収されてしまいました。

彼はその後、赦免されて源義経の平氏追討の軍に加わりました。この際、彼は『延慶本平家物語』に記載されるように、壇ノ浦の戦いで功績を挙げるなど、戦場での活躍が見られます。しかしその後、文治元年（1185年）10月には再び謀反の疑いを受け、所領であった下総国三崎庄が千葉常胤に奪われることになります。義経の一行の中には、彼の名でもある「片岡八郎弘経」の名が確認され、義経との関わりが続いていることが伺えます。

片岡常春は『吾妻鏡』において、「片岡太郎常春」や「片岡次郎常春」としても言及されており、彼の名前は不統一に見られます。これは彼に次郎または太郎の通称があったこと、一方で八郎為春という兄弟の存在を示唆しています。文治5年（1189年）3月には三崎庄が常春に返還される沙汰があったものの、13世紀初頭にはその地が千葉常胤の子である東胤頼の所領となっており、このことから片岡氏は奥州合戦の前後にかけて滅亡したと思われています。

さらに『義経記』によれば、常春の兄弟とされる片岡経春（片岡八郎）も義経に従い、文治5年（1189年）の閏4月には平泉で義経と共に自害したとされています。常春は義経の都落ち後に同行していたのかどうかは定かではありませんが、平泉には彼が討ち死にした場所に植えられている「片岡の松」が今も保存されています。

このように、片岡常春の生涯は波乱に満ち、多くの歴史的な出来事と結びついています。彼の存在や行動は、平安から鎌倉へと移る日本の武士たちの生き様を語る上でも欠かせない要素と言えるでしょう。

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