片野温

片野 温（かたの あつし）について

片野温は1896年に岐阜県で生まれ、1962年に亡くなるまで日本の郷土史の研究に尽力した人物です。彼は、治水事業で名を馳せた片野萬右衛門の外孫として生まれ、家族の歴史に深く根ざした人生を送りました。岐阜師範学校を卒業後、25年間教職に従事し、その後岐阜市役所に転職して市長の秘書を務めましたが、第二次世界大戦後に辞職し、故郷に帰る決断をしました。

帰郷後の片野は、地域社会への貢献に力を入れ、地元の小中学校のPTA会長や、文化財審議の委員としても活動しました。恩師である阿部栄之助の教えを受けて、彼は郷土史研究に深く没頭し、古文書の影写や金石文の手拓などに取り組みました。1936年には岐阜市が主催した大博覧会において、宗教館や郷土館の計画と運営にも携わり、特に織田信長や斎藤道三の肖像模本に携わることで、その特技を多くの人々に示しました。

片野はその後も、「美濃国史料郡上編」「長瀧史料」「美濃国史料岐阜・稲葉編」といった郷土史に関する著作を次々と刊行しました。これらの作品によって、彼は中世文書の研究史家としての地位を確立しました。特に1941年には、岐阜県内の傘、提灯、団扇、美濃焼といった産業の現況調査を行うことを進言し、その結果として資料保存のための調査機関が設置されました。

さらに、1942年から翌年にかけては、集荷された350余りの梵鐘を手拓し、その銘文や計測記録を残すなど、地域の文化遺産の保存に尽力しました。これに基づき「濃飛両国梵鐘年表」の編集も手掛けています。

彼の郷土文化への貢献は「岐阜県教育委員会」からも評価され、1951年には表彰を受けました。加えて、1954年には岐阜タイムス文化賞も受賞し、その功績が広く認められました。片野は1962年に67歳の生涯を閉じましたが、その献身的な姿勢は死後も受け継がれることとなり、遺体は医学者の育成のために献体されました。

家族・親族について

片野温の家族は、彼の背景にも深い影響を与えています。祖父の片野萬右衛門は庄屋であり、治水業績で知られる素晴らしい人物であり、その影響が片野に大きく作用していると考えられます。また、彼の子である片野知二も郷土史家として活動しており、片野記念館の館長を務めています。温が築いた郷土史に対する熱意は、次世代にも受け継がれています。

このように、片野温は岐阜県の歴史と文化に多大な貢献をした郷土史家であり、その業績は地域の人々に永く記憶されることでしょう。

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