牛丸氏

牛丸氏について

牛丸氏（うしまるし）は、日本の氏族の一つであり、主に飛騨国と秋田藩にその足跡を残しています。

飛騨国の牛丸氏

飛騨国大野郡牛丸邑を発祥とする牛丸氏は、同地方の有力な豪族・国人領主として名を馳せました。特に小鷹利城を拠点とした家柄として知られています。同じ飛騨国の有力豪族である江馬氏との間で勢力争いを繰り広げ、江馬輝盛との合戦ではその勢力拡大を阻む役割を果たしました。しかし、天正11年（1583年）に姉小路頼綱と広瀬宗域の攻撃を受け、勢力を大きく失うこととなります。

この戦いで生き残った牛丸親綱（牛丸又右衛門）は、翌天正12年（1584年）に織田信長の家臣であった佐々成政を頼り越中国へ逃れますが、受け入れられず越前国へ。その後、織田家臣の金森長近の家臣となりました。

天正13年（1585年）、羽柴秀吉による越中の佐々成政攻め、さらに飛騨の姉小路氏攻めの際、金森長近が飛騨侵攻を任されることになります。その先鋒として各地を転戦し、父祖の地である小鷹利城を奪還。この功績により、長近は関白羽柴秀吉から賞賛を受け、飛騨国主となり、親綱は長近から3,000石を賜りました。

秋田藩士 牛丸氏

一方、牛丸氏の中には、飛騨国から常陸国に移住した者もいました。牛丸兵左衛門重勝と弟の市郎右衛門久永は、飛騨国を離れて関東の常陸国に至り、戦国大名佐竹義宣の家臣になったとされています。

市郎右衛門久永は、佐竹家臣の安島氏の当主、安島采女が亡くなった後、その未亡人と結婚し、妻の連れ子である安島吉兵衛信次を養育しました。久永は妻との間に牛丸伝次久吉を儲けましたが、佐竹家が関ヶ原の戦いで減封され、秋田へ転封となったため、これに従い秋田に移り住みました。

系譜

飛騨牛丸氏


牛丸重親
　 ┃
　 親綱
　(親正)


秋田藩士 牛丸氏

牛丸兵左衛門重勝は本姓を平氏とし、飛騨国の浪人から常陸国で佐竹義宣に仕えたとされています。


牛丸兵左衛門重勝-重親-重次-重賢-重候-治左衛門重頼

脚注

本記事の作成にあたり、以下の文献を参考にしました。

秋田県立公文書館編『系図目録Ⅰ (PDF) 』（秋田県、2001年）
秋田県公文書館所蔵、牛丸治右衛門重頼筆『牛丸氏系図写』
太田亮著、上田萬年、三上参次監修『姓氏家系大辞典 第1巻』（角川書店、1934年）
常陸太田市史編さん委員会編『佐竹家臣系譜』（常陸太田市、1982年）

関連項目

佐竹氏
安島氏

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