牛諒

牛諒（ぎゅう りょう）は、明朝初期に活躍した官僚であり政治家です。生没年は不詳で、字は士良と称しました。彼の本貫は東平府須城県にあります。

生涯

1368年（洪武元年）、牛諒は秀才として認められ、典簿の職に就きました。翌1369年（洪武2年）には、張以寧と共に安南への使節という重要な任務を担い、翌年に帰国しました。彼の才能は洪武帝にも認められ、その後、三度にわたり官位を昇進し、遂には礼部尚書という要職にまで上り詰めました。

礼部尚書として、牛諒は祭祀制度の改革に積極的に取り組みました。彼は、釈奠（せきてん：孔子を祀る儀式）と大祀分献の礼（たいしぶんけんのれい：天子が行う祭祀の一部）を改定しました。さらに、詹同（せんどう）らと協力し、祭祀に用いる犠牲の動物や宮廷の冠服制度についても詳細な議論を重ね、制度の整備に貢献しました。1373年（洪武6年）には、太歳諸神を祀るための15の祭壇を設置することを上奏し、祭祀の重要性を訴えました。

1374年（洪武7年）1月、答禄与権（とうろくよけん）が三皇（さんこう：古代中国の伝説上の三人の帝王）の祭祀を求めた際、牛諒は南京に三皇廟を建立し、春と秋に祭祀を行うことを進言しました。また、漢や唐の時代からの陵墓にも廟を建てることを提言しました。洪武帝はこの提案を修正しつつも実行に移しました。しかし、同年、牛諒は職務怠慢を理由に主事へと降格されました。それでも彼の能力は高く評価され、ほどなくして礼部尚書の官に復帰しました。

1375年（洪武8年）、牛諒は「都では既に天下の山川を祭ることを停止しているが、その他の国の山川もまた天子が自ら祭祀するものではない」と上奏し、祭祀のあり方について再考を促しました。しかし、その後、彼は再び職を解任され、その後の消息は不明です。牛諒は多くの著述を残しており、その著作は当時広く流通していたと伝えられています。

牛諒は、明朝初期の祭祀制度の確立と宮廷儀礼の整備に大きな功績を残した人物です。彼の提言や改革は、当時の社会や文化に大きな影響を与え、後世にまでその名を残しています。

脚注

参考文献：
* 『明史』巻136 列伝第24

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