詹同

詹同（せん どう、生没年不詳）は、元末から明初にかけて活躍した儒学者であり、官僚でした。字（あざな）を同文といい、本貫は徽州婺源県にありました。

幼少の頃から聡明で、その才能は早くから注目されていました。学者の虞集に才能を認められ、その弟の娘と結婚するという縁にも恵まれました。元朝末期には、茂才異等科という試験に合格し、郴州学正という官職に就きました。

しかし、元末の混乱期に遭遇し、黄州に避難していたところ、陳友諒に仕えることとなり、翰林学士承旨という役職に任命されました。その後、朱元璋が武昌を占領すると、詹同はその才能を認められて召し出され、国子博士に任じられました。この時、朱元璋から「同」という名を与えられ、それ以降「詹同」と名乗るようになりました。当時、功臣の子弟たちが内府で教育を受けていましたが、詹同は幅広い学識を持ち、『易経』や『春秋』の講義を行い、特にその教育手腕が高く評価されました。その後、考功郎中に転じ、直起居注も務めました。

洪武元年（1368年）、詹同は侍御史の文原吉や起居注の魏観らと共に、全国を巡り、優れた人材を探し求めました。南京に戻ると、翰林直学士に昇進し、その後、侍読学士に転任しました。洪武帝（朱元璋）が厳しい刑罰によって部下を統制していた際、劉基は「昔は公卿に罪があった場合、自殺させるのが制度であった」と進言しました。その時、詹同は洪武帝のそばに控えており、『大戴礼記』と賈誼の『論積貯疏』を引用し、劉基の意見を支持しました。

洪武4年（1371年）には、吏部尚書に進みました。洪武6年（1373年）には、学士承旨を兼務し、楽韶鳳と共に釈奠（せきてん）の先師楽章を制定しました。また、洪武帝の統一事業と治世の詳細を記録した『日暦』の編纂を提案し、洪武帝に採用されました。詹同と宋濂が総裁官となり、呉伯宗らが編纂官として、この事業にあたりました。洪武7年（1374年）5月には、臨濠での挙兵から洪武6年までの記録をまとめた『日暦』100巻が完成しました。さらに、詹同は唐の『貞観政要』に倣った書物を編纂し、聖政を天下に示すことを提案し、これも洪武帝に採用され、40類5巻から成る『皇明宝訓』が編纂されました。同年に致仕（官職を辞すること）を許されましたが、故郷に戻る前に、洪武帝によって撤回され、宋濂と共に大祀分献の礼について議論しました。その後、再び学士承旨として起用され、その生涯を終えました。

詹同の子である詹徽は、字を資善といい、洪武15年（1382年）に秀才として認められました。官職は太子少保にまで上り、吏部尚書も兼ねましたが、李善長の処罰に協力したことが原因で、藍玉の獄に連座し処刑されました。

詹同は、元末から明初の激動期において、その学識と才能を発揮し、明朝の制度や文化の発展に貢献した人物として、歴史に名を残しています。

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