牟宗三

牟宗三の生涯と思想

牟宗三（ぼうそうさん）は、1909年6月12日に中国山東省登州府棲霞県に生まれました。彼の祖籍は湖北省公安県にあります。9歳から私塾で教育を受け、11歳で新制小学校に転入。15歳のころには棲霞県立中学に進学しました。1928年に北京大学予科に合格し、1930年には哲学系に進学。ここで、哲学者の張申府や金岳霖、熊十力と出会い、彼らがその後の思想形成に大きな影響を与えました。特に熊十力の著書『新唯識論』から刺激を受け、長い間師事しました。1933年には北京大学を卒業し、故郷での教職生活をスタートさせました。

大学卒業後から台湾移住まで

彼は zunächst 故郷で教師として活動した後、1934年に国家社会党に加入しました。この年には長男も誕生しました。彼の処女作が登場したのは1935年で、後に『周易的自然哲學與道徳涵義』と改題されることになります。その後、彼は広州、山東、広西と各地の学校で教鞭を執ります。1937年、抗日戦争の激化に伴い、当時の知識人たちに対する強い反発を感じつつ、戦争から逃れるために雲南へ移動しました。1941年には論理学に関する研究書を出版し、1942年から1945年まで華西大学で教えました。

1949年には共産党の政権樹立を受けて台湾へ移住。その後、台湾師範学院や東海大学で教壇に立つことになります。また、台湾教育部からの要請を受けて学術審議委員を務め、1955年には『歴史哲學』を発表しました。1960年には香港大学からの招聘を受け、香港を拠点に多くの著作を発表し続けました。1968年には香港中文大学の哲学系主任に就任し、退職後も台湾と香港を往復しながら講義を行いました。1995年4月12日、台北市で彼は生涯を閉じました。

思想と哲学的立場

彼の哲学的立場は、新儒家の代表に位置づけられており、儒教の再構築を目指しました。特に孟子に重きを置き、儒学史の体系的な再編を試みました。彼は王陽明に高い評価をする一方で、程頤や朱熹に対しては批判的でした。また、老荘思想や仏教についても多くの著作を残しており、仏教研究においては近代的なアプローチを取り入れながら独自の体系を築きました。彼の教えは特に天台宗に親しみを持ち、ここでの円教を最高のものと見なしました。

西洋哲学においては、初期には論理実証主義の立場を取りましたが、後にカント哲学の解釈において大きな転機を迎え、自身の哲学体系を確立しようとしました。特に彼の代表作『現象と物自体』はその特徴的な訳語と注釈とともに、中国思想の観点からの新しい理解を提供しています。このように、彼は新儒家的視点から西洋哲学との対話を試みた哲学者でした。

著作

彼の著作には、『認識心之批判』や『道徳的理想主義』、さらには『歴史哲學』などがあります。また、カントやウィトゲンシュタインの作品の中国語訳も行い、彼の学問的貢献は多岐にわたります。

牟宗三の思想は、現代における中国の哲学界に大きな影響を及ぼし続けており、その業績は今もなお研究の対象とされています。

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