牧谷宇佐美

1980年 5月1日生まれ、北海道旭川市出身の元プロ野球選手。ポジションは外野手、右投右打。東京ヤクルトスワローズに所属した。プロ野球引退後は、北海道日本ハムファイターズの職員として、野球の普及・指導活動に携わっている。

アマチュア時代

幼少期から野球に親しみ、小学校4年生で本格的に競技を開始。小学校6年生時には、チームの一員として軟式野球の全国大会を経験している。中学校時代は、野球部と並行して陸上部にも所属。2年生時には旭川市の砲丸投記録を樹立するなど、優れた身体能力の持ち主だった。

旭川実業高校に進学すると、投手として頭角を現し、対外試合で20勝以上を記録。特に3年夏の予選では、最速145km/hを計測する速球で注目された。惜しくも甲子園出場は叶わなかったものの、投手としての実績に加え、高校通算18本塁打を放つなど、俊足強打の野手としても非凡な才能を見せていた。その才能が評価され、1998年度のNPBドラフト会議にて、ヤクルトスワローズから2位で指名を受け、投手としてプロ入りした。当時の背番号は46だった。

プロ野球選手として（ヤクルト時代）

プロ入り後は、主にイースタン・リーグ（二軍）でのプレーが中心となった。最初の2年間（1999年、2000年）は投手登録だったが、一軍での登板機会は得られず。二軍でも通算11試合に登板して1勝2敗、防御率14.03と苦しい成績に留まった。同時期に同じヤクルトに在籍していた同姓の宇佐美康広選手（こちらも北海道出身）と混同されることもあったという。

2001年、高校時代から評価の高かった身体能力と、当時の二軍監督であった小川淳司氏の判断により、外野手へのコンバートを決断。転向当初は、打撃の確実性に課題があり、二軍公式戦の打率が2割前後で推移するなど試行錯誤が続いた。2002年からは背番号を64に変更している。

打撃力が向上したのは2004年以降で、二軍での打率が.280前後で安定するようになった。同年にはイースタン・リーグで2試合連続サヨナラ安打を放つなど、勝負強さも見せ始めた。2005年にはオープン戦で初めて一軍に帯同したが、3打数無安打に終わり、公式戦出場はならなかった。しかし、二軍では打率.287、2本塁打、6盗塁を記録。続く2006年も二軍で打率.286、6本塁打、7盗塁と好成績を残し、一軍の練習には度々呼ばれるようになった。

転機が訪れたのは2007年。二軍の主力打者として、自己最多の95試合に出場。リーグ最多安打となる96安打を放ったほか、自己最多9本塁打、リーグ2位の10盗塁、51打点、打率.279とキャリアハイの成績を残した。しかし、この年も一軍への昇格は実現しなかった。

プロ入り10年目となる2008年、ついに待望の一軍登録を果たす。6月22日に登録されると、翌23日の対オリックス・バファローズ戦（神宮球場）で、7回裏一死満塁の場面で代打として一軍公式戦に初出場。これは、ドラフト制度が導入された1965年以降、投手から野手へ転向した選手としては、渡辺政仁氏の12年目に次ぐ遅い一軍初出場記録として特筆される。しかし、この初打席は空振り三振に倒れ、続く7月1日の対読売ジャイアンツ戦でも代打で凡退。7月3日には登録抹消となり、そのままシーズンを終えた。二軍ではこの年も打線の主軸として活躍し、打率.279、5本塁打、42打点を記録する一方、リーグ最多の12併殺打も記録している。

2009年は、二軍で自身初の打率3割（.311）を達成し、4本塁打、30打点をマークしたが、2年連続の一軍昇格は叶わなかった。同年10月1日、球団から戦力外通告を受け、現役を引退した。

現役引退後

現役引退後、2010年からは故郷・北海道に本拠地を置く北海道日本ハムファイターズの職員に転身。同球団が運営するベースボールアカデミーのコーチ（野球教室講師）として、子供たちに野球の楽しさを教える活動に従事している。また、2010年末には結婚した。

さらに、2025年3月には、出身地である旭川市に拠点を置く、北海道ベースボールリーグ所属のプロ野球独立球団、旭川ビースターズの「地域共創アドバイザー」に就任することが発表されており、野球を通じた地域貢献にも力を入れている。

牧谷宇佐美