牧野忠泰

牧野忠泰の生涯

牧野忠泰（まきの ただひろ）は、越後三根山藩の主として知られる。彼は、肥前福江藩の藩主である五島盛繁の三男、五島盛保を父に持ち、1835年に生まれた。彼の青年期は安政の時代に重なり、1854年には越後三根山を領する大身旗本の養子として家業を引き継いた。

大名としての登場

1857年、安政4年の2月に忠泰は襲封し、義父である長岡藩主・牧野忠恭の願いによって、家格寄合の旗本から新田分を加えたことで大名としての地位を得ることになる。この時、彼の所領は1万1000石に達し、従五位下・伊勢守に叙任された。

戊辰戦争とその影響

時は流れ1868年、戊辰戦争が勃発すると、忠泰は奥羽越列藩同盟に参加し、自藩の兵を出動させた。長岡藩の本家が陥落する中、忠泰は家老の神戸十郎右衛門を与板藩に派遣し援助を求めたが、士気が低く、十分な支援を受けることはできなかった。この頃、三根山藩には庄内藩が侵攻し、忠泰は自藩の安全確保に苦慮していた。

新政府軍が新潟に上陸したことで戦局は劣勢に傾き、結局、三根山藩は新政府軍に恭順する道を選ぶこととなった。この際、忠泰は「新政府軍に加担したいが、庄内藩に対抗できず、戦わざるを得なかった」とする嘆願書を提出し、忠泰と藩兵は新政府軍に従うことを決めた。しかし、この選択は彼に謹慎処分をもたらすものとなった。

その後、83名の藩兵を与板藩と共に派遣し、庄内藩と戦闘を行った。こうした行動が評価され、忠泰の謹慎が解かれることとなった。また、寛大な処置を宗家の長岡藩に願う嘆願書も提出し、三根山藩は降伏後に500石減封されるに留まった。

転封と明治維新後の活動

しかし、長岡藩に連座して転封の命令が出され、1869年には信濃国伊那に移されることが決まった。忠泰は長岡藩と共にこの決定の撤回を懇願し、最終的に成功を収めた。

明治維新後の1870年5月、忠泰は長岡藩の窮状を察知し、米百俵を送るなど支援を行う。この年の10月には、丹後峰山藩と混同されないように、藩名を嶺岡（峰岡）藩に変更した。

彼の死去後、長女の千代子が家督を継ぎ、1891年には、その夫である忠良が家督を継いで子爵の爵位を授与されることになるなど、忠泰の家系はその後も続いていく。

終わりに

牧野忠泰は、越後三根山藩を治めた大名として、戦国の変動期を生き抜いた。一族の存続や藩の運命を背負い戦争や政策に関わった彼の歴史は、単なる一地域の物語に留まらず、日本全体の歴史にも影響を与えた重要なものであった。彼の生涯を通じて見える藩主としての責務や家族の絆は、後世に伝わる貴重な教訓である。

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