西尾忠移

西尾忠移（にしお ただゆき）：遠江横須賀藩主としての生涯と功績

西尾忠移は、江戸時代中期、遠江横須賀藩の第4代藩主として知られています。横須賀藩西尾家7代当主として、藩政改革と文化振興に力を注ぎました。

生涯

延享3年（1746年）、第3代藩主・西尾忠需の次男として誕生しました。明和2年（1765年）に兄・忠雅が早世したため、同年12月20日に世子に指名されます。明和3年12月19日（1767年）には、従五位下・山城守に叙任されました。天明2年（1782年）9月29日、父の隠居に伴い家督を継ぎ、後に隠岐守に転任しています（この時期については、天明7年（1787年）7月1日、または天明2年（1782年）10月1日とする説もあります）。

天明4年（1784年）5月15日には寺社奉行兼奏者番に任じられましたが、同年12月に江戸藩邸が失火。この影響で、天明5年（1785年）1月まで出仕を差し止められています。天明6年（1786年）には、岳父である田沼意次が失脚しますが、意次の縁者でありながら、相良城の取り壊しを命じられるなど、幕府からの信頼を維持しました。

藩政における功績

忠移は、藩政において、甘藷の栽培や精糖法の研究を奨励するなど、産業開発による藩財政の再建を目指しました。これらの政策は、藩の経済基盤を強化し、領民の生活を安定させることに貢献しました。

また、自身が蘭学や絵画に造詣が深かったことから、高森観好をはじめとする多くの文化人を横須賀藩に招聘し、文化の発展に尽力しました。藩内における学問や芸術の振興は、人々の精神的な豊かさをも育み、藩全体の文化水準の向上に繋がりました。

死去とその後

享和元年（1801年）3月27日、横須賀城にて56歳で生涯を閉じました。男子は全て早世していたため、婿養子の西尾忠善が跡を継ぎました。

系譜

父：西尾忠需
正室：千賀姫（田沼意次の三女）
子女：
西尾忠亮（次男）
千次郎
年（西尾忠善正室）
孝（久世綏之室）
隆姫（酒井忠実室）
町（松平乗譲正室）
養子：西尾忠善（牧野貞長の四男）

西尾忠移は、藩主としてだけでなく、文化人としても多才な一面を持ち、横須賀藩の発展に大きく貢献した人物として、後世に語り継がれています。

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