合併特例区

合併特例区とは

合併特例区とは、日本の市町村合併において、合併後の市町村の区域内に設けられる特別な地方公共団体です。この制度は、合併前の地域住民の意見を反映させながら、地域に密着した事務を行うことで、合併後の市町村の一体的な運営を円滑に進めることを目的としています。

制度の概要

合併特例区は、新・合併特例法（平成16年法律第59号）に基づいて規定されています。この法律は、2005年4月1日から2030年3月31日までの合併に対して適用されます。

合併特例区は、合併後の市町村において、合併関係市町村の区域であった地域を単位として設置されます。設置期間は最長5年間と定められており、合併関係市町村の協議によって決定されます。

合併特例区の役割

合併特例区は、以下の様な役割を担います。

地域住民の意見反映: 合併前の市町村単位の地域住民の意見を反映させ、地域の実情に合わせた事務を行います。
事務の効率的な処理: 地域に密着した事務を行うことで、事務の効率化を図ります。
住民生活の利便性向上: 地域住民の生活に密着したサービスを提供することで、住民の利便性向上を目指します。
市町村の一体化促進: 合併後の市町村の一体的な運営を円滑に進めるための役割を担います。

合併特例区では、具体的には集会所の管理、地域振興イベントの運営、コミュニティバスの運行、地域に根ざした財産の管理などを行います。

合併特例区の組織

合併特例区は、特別地方公共団体として、独立した組織を持っています。

区長: 市町村長が選任した特別職の職員が区長を務めます。選挙によって選ばれることはありません。
区議会: 区議会は設置されません。
合併特例区協議会: 一定の決定権を持つ協議会が設置されます。この協議会が、合併特例区の運営に関する重要な事項を決定します。

過去の合併特例区の例

過去には、以下の市町村で合併特例区が設置されていました。

岡山県岡山市：灘崎町・御津町（2005年3月22日-2010年3月21日）
北海道せたな町：瀬棚町・北檜山町・大成町（2005年9月1日 - 2010年8月31日）
宮崎県宮崎市：田野町・佐土原町・高岡町（2006年1月1日 - 2010年12月31日）
福島県喜多方市：熱塩加納村・塩川町・山都町・高郷村（2006年1月4日 - 2011年1月3日）
岩手県奥州市：水沢市・江刺市・前沢町・胆沢町・衣川村（2006年2月20日 - 2011年2月19日）
北海道2006年3月27日 - 2011年3月26日'>[名寄市]]: [[風連町]
北海道士別市: 朝日町（2006年3月31日 - 2011年3月30日）
岡山県岡山市：建部町・瀬戸町（2007年1月22日-2012年1月21日）
熊本県熊本市：富合町（2008年10月6日 - 2013年10月5日）
熊本県熊本市：植木町・城南町（2010年3月23日 - 2015年3月22日）
宮崎県宮崎市：清武町（2010年3月23日 - 2015年3月22日）

これらの例からもわかるように、合併特例区は、市町村合併後の地域において、地域住民の生活に密着したサービスを提供する上で重要な役割を果たしていました。

現在の状況

2022年5月現在、新法に基づく合併特例区は存在しません。しかし、この制度は、市町村合併後の地域運営において、依然として重要な意義を持つと考えられます。

関連情報

特別地方公共団体
地域自治区
日本の市町村の廃置分合（市町村合併）
市町村の合併の特例等に関する法律


市町村の合併の特例等に関する法律 - 衆議院
地域自治組織設置状況一覧 - 総務省
* 合併特例区の現状と課題（生沼裕） - PDF

もう一度検索