犬越路

犬越路（いぬこえじ）

犬越路は、神奈川県相模原市緑区と足柄上郡山北町の境にある、標高1060メートルの峠です。この場所は丹沢山地西部に位置し、峠の周辺には東海自然歩道が通っています。また、犬越路峠としても知られ、かながわの景勝50選にも選ばれています。

概要

犬越路は檜洞丸と大室山の鞍部にあたる場所であり、ここは丹沢主稜の最低地点になります。峠の南側は開けており、周囲の西丹沢の山々を見渡すことができます。また、犬越路林道が峠の東方700メートル地点である犬越路隧道を貫通しているものの、林道の入口にゲートが設置されているため、現在は一般車両の通行ができません。

峠の名の由来

犬越路の名前の由来として伝えられているのは、戦国時代に武田信玄が小田原で北条氏康を攻めた際、犬を使って峠を越えたという伝説です。この逸話は広く知られ、ガイドブックなどにも記されています。しかし、実際のところ「犬」という言葉は地元の方言で「険しい道」を意味する「イノ」に由来しているという説もあります。興味深いことに、犬越路の約200メートル西側には、大杉丸という名称の三等三角点がありますが、こちらは「イノコイシ峠」という名が付けられています。これにより、犬越路の名前が武田信玄の伝説に結びついたという考え方も存在します。

さらに、近隣には信玄に関連した地名が点在しており、行軍の経路については未だに不明な部分が多いものの、犬越路は急峻な峠道であったため、信玄が実際にここを越えたかどうかは疑問視されています。

登山ルート

犬越路は登山者にとっても人気のスポットで、十字路のような位置にあります。ここでは、東西を結ぶ丹沢主稜縦走路と、北からの神ノ川ルートおよび南からの用木沢ルートが合流しています。このうち、神ノ川と用木沢からのルートは東海自然歩道に指定されています。登山口は主に西丹沢ビジターセンターと神ノ川ヒュッテの二箇所があり、犬越路を目的に登る人は少なく、通常は周辺の山々と組み合わせたルートが利用されます。

主な登山ルート

• - 大室山周回ルート

西丹沢ビジターセンターを出発し、用木沢出合を通り犬越路を経て大室山と加入道山、白石峠を通って戻るコースです。このルートは比較的人が少なく、静かな登山を楽しめます。

• - 檜洞丸西側周回ルート

人気のルートで、犬越路を経由しながら檜洞丸へ達するコースです。この区間では鎖場や鉄梯子が続き、特にシロヤシオやトウゴクミツバツツジが見ごろの5月末から6月初頭には多くの登山者が訪れます。

• - 檜洞丸北側周回ルート

神ノ川ヒュッテを起点に、犬越路を経由して檜洞丸へと続くコースです。北側の登山口はアクセスが難しいため、このルートを選ぶ登山者は少数です。

アクセス

南側登山口の西丹沢ビジターセンターへは、小田急線新松田駅または御殿場線谷峨駅からの路線バスが便利です。マイカーの場合、最寄りのインターチェンジは東名高速道路の大井松田ICか御殿場ICで、国道246号を利用します。北側の神ノ川ヒュッテにはアクセスが難しいため、車が必要です。

周辺施設

犬越路には無人の避難小屋があり、2005年に建て替えられた二代目の小屋は雨水利用や自然浄化式の汚水処理システムを備えています。このような施設は山岳地帯の厳しい気候に対応するために設計されています。

周辺の山々

犬越路からは周辺の山々へのアクセスも良く、多くのハイカーに愛されています。登山を楽しむ際は、事前にルートを確認し、計画的な準備を行うことが重要です。

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