狄銀

狄銀（てきぎん、拼音：Díyín、? - 926年）は、甘州ウイグル王国の王（権知可汗）であり、仁美の弟です。狄銀という名前はテギン（Tägin：皇太弟）の転写であると考えられており、本名は不明です。

生涯

911年、狄銀は隣国の西漢金山国（沙州漢人王国）に侵攻し、双方に負傷者を出す事態となりました。その後、講和することになった際、狄銀は西漢金山国に対し、甘州の権知可汗である仁美を父とし、沙州の白衣天子である張承奉を子とするよう要求しました。この要求は、甘州ウイグル王国の優位性を示すものでした。

924年11月、兄である英義可汗仁美が亡くなったため、狄銀が後を継いで権知可汗（甘州王）となりました。即位後、狄銀は都督の安千想らを後唐へ派遣し、入朝させました。これは、後唐との関係を重視し、新たな王朝との関係を構築しようとする姿勢の表れでした。しかし、同月には都督の畢離遏が契丹可汗の耶律阿保機によって捕らえられるという事件も発生しました。

926年、狄銀は亡くなり、阿咄欲が後を継いで権知可汗となりました。狄銀の治世は短期間でしたが、甘州ウイグル王国の政治と外交に一定の影響を与えたと考えられます。

狄銀の生涯については、『旧五代史』、『新五代史』、『遼史』などの歴史書に断片的に記録されています。また、榎一雄氏の『講座敦煌2 敦煌の歴史』などの研究書も参考にすることができます。

参考文献

『旧五代史』（外国列伝二）
『新五代史』（四夷附録第三）
『遼史』（本紀第二 太祖下）
榎一雄『講座敦煌2 敦煌の歴史』（大東出版社、1980年）

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