沙州

沙州の歴史

沙州（さしゅう）は古代中国に存在した州で、主に五胡十六国時代から元初にかけて、現在の甘粛省敦煌市を中心とした地域に設置されていました。その成り立ちは、前涼の張駿が敦煌郡、晋昌郡、高昌郡、そして西域都護や玉門大護軍を含む3つの郡と3つの営を統治するために沙州を設けたことから始まります。これは地域の防衛や統治を強化する目的があったと考えられます。

400年には西涼の李暠が沙州の刺史を名乗り、401年には後秦の姚興が涼州を攻撃した際、沮渠蒙遜が使者を通じて姚興に従い、彼が沙州刺史に任命されるという流れがありました。さらに、吐谷渾の支配者たちも南朝宋の庇護のもと、沙州刺史に就任するなど、さまざまな王朝の影響を受けました。

619年（武徳2年）には、唐の統治下で隋の敦煌郡に瓜州が置かれ、622年にはその名称が西沙州と改められました。633年に現在の沙州という名前に変更され、742年には敦煌郡に、その後758年には再度沙州と呼ばれるようになりました。この時期、沙州は敦煌と寿昌の2県を管轄する重要な地域でした。

安史の乱後、吐蕃が沙州を含む河西回廊地域を占領し、晩唐には沙州の張議潮が河西の11州を奪取して唐に帰順し、その後帰義軍節度使となりました。また、帰義軍の節度使であった張承奉は、西漢の白衣天子を名乗って西漢金山国を建国するなど、沙州の政治的な影響は非常に広範囲に及びました。

五代の後梁時代には、張氏の帰義軍節度使が断絶した後、州長史の曹議金が台頭し、彼は後唐によって沙州刺史および帰義軍節度使に任命されます。その後、曹氏の帰義軍はもっとも強盛を極めるも、西夏に滅ぼされ、沙州も西夏の統治下に入ることとなりました。

1280年（至元17年）には元朝において沙州は沙州路総管府に昇格し、1403年（永楽元年）には明朝によって沙州衛が設置され、地域の統治機構として重要な役割を果たしました。

広元の沙州

この部分では、南北朝時代から唐初期にかけて、現在の四川省広元市に設置された沙州に焦点を当てます。479年（建元元年）に南朝斉によって白水県に沙州が成立しました。この時、楊広香が都督沙州諸軍事、平羌校尉、沙州刺史となり、その後の地域の発展に寄与しました。

516年（天監15年）には南朝梁によって沙州は北益州に改称され、553年（廃帝2年）には西魏によって攻撃を受け、奪取された後、再び沙州と改名されます。この時期、沙州は平興郡内の平興、白水、魚盤の3県を管轄しました。

605年（大業元年）には隋の政策により沙州は廃止され、その管轄県は利州に統合されます。しかし、621年（武徳4年）に唐によって利州から景谷県が分離され、再度沙州が設置されました。627年（貞観元年）には再び沙州が廃止され、歴史の中で複数回の変遷を経てきました。

沙州はこのように、多くの王朝とその政治・社会変動の中で変遷し、時には新しい名を与えられながら、地域の歴史に深い影響を与えてきたことがわかります。

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