狗古智卑狗

狗古智卑狗（くこちひこ、くこちひく、生没年不詳）は、中国の歴史書『魏志』東夷伝に登場する狗奴国の官です。同書には、「その南に狗奴国があり、男子を王とし、その官に狗古智卑狗がいる。女王に属さない。」と記されています。この記述から、狗奴国が邪馬台国とは異なる勢力であり、女王である卑弥呼の支配下にはなかったことが伺えます。

狗古智卑狗の名前について

狗古智卑狗の名前については、いくつかの解釈が存在します。

「菊池彦」説: その名前が「菊池彦」に通じることから、現在の熊本県菊池郡との関連を指摘する説があります。倭名類聚抄には「菊池」と書いて「久々知（くくち）」と注釈されており、この地域との関係が示唆されます。
実権掌握説: 狗古智卑狗が王卑弥弓呼よりも先に記述されていることから、狗奴国において実質的な権力を握っていた可能性も指摘されています。
官名の解釈: 「狗」という文字は、一般的に「犬」を意味するため、蔑称として捉えられることもありますが、この字を「猛」であると解釈し、勇猛な武将や指導者としての意味を持たせる説も存在します。また、「古智」は古い知恵ではなく、新しい知恵を意味すると解釈し、「卑狗」は「彦」または「日高」、「日子」であると考える説があります。この解釈では、狗古智卑狗を、勇猛で新しい知恵を持つ指導者と捉えています。

狗奴国の位置づけ

狗奴国は、邪馬台国とは異なる勢力であり、卑弥呼の支配下にはなかったとされています。このことから、当時の日本列島には、複数の勢力が存在し、互いに影響し合っていたと考えられます。狗奴国は、その中でも特に独立性が高く、独自の文化や政治体制を持っていた可能性があります。狗古智卑狗は、その狗奴国において重要な役割を果たしていたと考えられ、当時の政治情勢を理解する上で重要な人物です。

参考文献

『新訂　魏志倭人伝・後漢書倭伝・宋書倭国伝・隋書倭国伝　中国正史日本伝(1)』 石原道博編訳　岩波文庫。

関連項目

倭・[[倭人関連の中国文献]]
魏志倭人伝
狗奴国
卑弥弓呼
* 邪馬台国

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