狗行者経

『狗行者経』の概要

『狗行者経』、またの名を『犬行者経』（パーリ語: Kukkuravatika-sutta）は、パーリ仏典の中部経蔵に収められている第57経です。この経典では、釈迦が行者であるプンナとセーニヤに対して仏法を説き、その教えを通じて彼らが仏教に帰依する様子が描かれています。

登場人物の紹介

釈迦

釈迦は仏教の創始者であり、全ての人に真理を教えるためにこの世に生まれた存在です。彼の教えは、苦しみから解放される方法を探求する人々にとっての道標となります。

プンナ

プンナは象を模倣する行を実践している裸行者です。彼は肉体的な感覚や快楽から解放されることを求めて修行を行っていますが、彼の行いは果たして正しいのかと問いかけがなされます。

セーニヤ

セーニヤは犬を真似る行者です。彼もまた、身体の制約を超えた精神的な解放を目指しています。彼の行為には疑念が寄せられ、釈迦による教えが新たな視点を与えることになります。

舞台設定

経典の舞台は、コーリヤ人たちの集落であるハリッダヴァサナです。釈迦はこの地に滞在しており、彼の元にプンナとセーニヤがやって来るところから物語は始まります。彼らは互いに自有している転生の運命についてしつこく問いただし、その真実を求めているのです。

仏法の教え

釈迦はプンナとセーニヤに対し、彼らが目前の行いからどのような未来を迎えるのかを考えさせる重要な教えを伝えます。彼は「畜生を真似る者は、畜生に生まれ変わる」という指摘をし、彼らの行動の意味とその結果を感じさせるのです。また、修行者としての姿勢を見直し、正しい道に進むよう促します。

この中で、釈迦は4つの業の分別を説き、行動の結果としての生まれ変わりについて深く考えるように助言します。この教えによって、彼らは自己を省みることとなり、釈迦の教えに心を開くことになります。

帰依と変化

最終的に、プンナとセーニヤは釈迦の教えに感銘を受け、三宝（仏・法・僧）に帰依することを決意します。プンナは仏教の在家信徒となり、セーニヤは出家し比丘となります。彼はその後、苦悩を乗り越え阿羅漢へと達することができました。

この経典は、仏法を通じて自己を見つめ直す大切さや、行動が未来を形作ることを教えており、修行者にとっての重要な指針となっています。

参考文献

• - 『南伝大蔵経・経蔵・中部経典2』（第10巻） 大蔵出版
• - 『パーリ仏典 中部（マッジマニカーヤ）中分五十経篇I』 片山一良訳 大蔵出版
• - 『原始仏典 中部経典2』（第5巻） 中村元監修 春秋社

関連項目

• - 六道

外部リンク

• - Kukkuravatikasuttaṃ - Tipitaka.org
• - Kukkuravatika Sutta: The Dog-duty Ascetic - translated by Ñanamoli Thera

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