狩場茂津多道立自然公園

狩場茂津多道立自然公園

この公園は、北海道南西部、寿都町・島牧村・せたな町の3自治体にまたがる道立自然公園です。狩場山地を中心とした山岳部、日本海に面した変化に富む海岸線、そして大平山地域を含む多様な景観と豊かな生態系が特徴です。

概要

公園の指定区域は、狩場山地、弁慶岬から太櫓海岸まで続く海岸線、そして大平山周辺の地域で構成されています。特に狩場山周辺の一部は、林野庁によって「狩場山地須築川源流部森林生態系保護地域」に指定されており、原生状態に近いブナ林を中心とした貴重な森林生態系が厳重に保護されています。公園内には、日本の渚百選に選ばれた江ノ島海岸や、日本の滝百選に数えられる賀老の滝といった、優れた景勝地が含まれています。

豊かな自然

植生

狩場山では、標高およそ900メートル以下のエリアに、北限に近いブナの原生林が広がっています。標高が上がるにつれて、狭い範囲ながらダケカンバの林が見られ、さらに高所ではハイマツ帯へと移行します。この地域ユニークな特徴として、ブナ帯とダケカンバ帯の間に一般的な針葉樹林帯が形成されず、ブナの木々に混じってアオトドマツが点在している点が挙げられます。

高山帯では、雪解け水が多く残る湿潤な平坦地で、エゾゼンテイカやイワイチョウ、ウメバチソウなどの湿地を好む高山植物が見られます。一方、乾燥した尾根筋の岩場には、ハイマツが広大な群落を形成しています。

大平山周辺も、山麓から山の中腹にかけてブナの豊かな森に覆われています。山頂部では、多彩な高山植物が観察できるほか、オオヒラウスユキソウといった、この地域固有の希少な植物も自生しています。

生き物たち

公園一帯は、北海道のシンボルでもあるヒグマにとって重要な生息地となっています。その他にも、シマリスやノゴマなど、様々な種類の野生の鳥類や獣類が生息しており、多様で健全な自然生態系が維持されています。

海岸景観

弁慶岬から瀬棚海岸にかけての海岸線は、茂津多岬周辺を除いて、荒々しい岩礁や断崖絶壁が発達しており、変化に富んだ海岸美が広がっています。特に茂津多岬では、かつて狩場山から流れ出した溶岩流が長い年月の波の浸食によって削られ、柱状節理と呼ばれる見事な海食崖が形成されています。江ノ島海岸はその美しさから「日本の渚百選」に選定されています。

主な見どころ

主な見どころは以下の通りです。

弁慶岬
大平海岸
江ノ島海岸
茂津多岬
狩場山
賀老の滝
熊戻り渓谷
立象山展望台
三本杉岩
太櫓海岸

施設

島牧村には、公園散策の拠点となる「道の駅よってけ!島牧」があり、休憩や情報収集に利用できます。（島牧郡島牧村字千走11-1）

この自然公園は、山岳の原生林から海岸の奇岩、そして多様な動植物まで、北海道の豊かな自然を凝縮したエリアであり、四季折々の美しい景観と触れ合うことができます。

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